米連邦通信委員会、新サービスによる電波干渉防ぐため受信機の性能も調査へ

2022年3月6日 16:00

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記事提供元:スラド

米連邦通信委員会 (FCC) 委員長のジェシカ・ローゼンウォーセル氏が MWC 2022 でスピーチし、周波数を効率的に利用するため受信機の性能についても調査を行う計画を明らかにした(スピーチ全文Ars Technica の記事)。

ローゼンウォーセル氏によれば、これまで周波数の効率的利用に関する議論では送信機のみ注目して干渉レベルのコントロールが検討されていたという。しかし、5G C バンド (3.7 ~ 3.98 GHz) では 220 MHzのガードバンドを設けることで航空機の電波高度計 (4.2 ~ 4.4 GHz) への干渉を十分に防ぐことができると考えられていたが、3.8 GHz 以上の周波数が未使用で実質 400 MHz のガードバンドがあるにもかかわらず、連邦航空局 (FAA) は電波高度計に干渉すると主張している。

これは電波高度計の受信機設計に際して割り当て周波数帯域の境界が考慮されていなかったのが原因だという。電波高度計は発射した電波の反射波を受信して高度を測定する仕組みのため、微弱な電波は検出できない。これまで隣接する周波数帯域は人工衛星の通信 (4.0 ~ 4.2 GHz) にしか使われておらず、非常に微弱な電波であることから特に配慮しなくても問題なかったが、強い電波の 5G が展開することで潜在的な問題が露呈する結果になった。

このように最低限の動作しかしない受信機は同一周波数または隣接周波数での新しいサービス導入の制約となるため、ローゼンウォーセル氏は受信機の性能等に関する新しい調査の開始を来月提案する計画だ。党派が 2 対 2 に割れている FCC だが、この件に関しては超党派で進められる見込みとのこと。受信機の規制は 20 年近く前から課題となっていたが、実現することはなかった。 

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