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本当のエコとは? 伊藤かずえさんのレストアされたシーマが訴えること
日産自動車は7日、俳優の伊藤かずえさんが30年以上愛用してきた「シーマ」のレストアを完了したと発表。生産終了部品の入手や作業方法の確認など、当初の想定以上の時間と労力がかかったと言うが、無事にレストアが完了。車両は日産の発信拠点である「NISSAN CROSSING」で、12月22日まで展示されている。
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伊藤さんのシーマは、30年以上前のクルマであったが、定期的にメンテナンスを繰り返したことで非常にコンディションが良かったと言う。それでも30年の年月は、クルマに多くの劣化をもたらし、様々な不具合を発生させていた。
レストアは、悪いものを全て新しいものに交換して、新車のように蘇らせる。言葉では短く簡単だが、古いクルマを新車のように蘇らせるには、部品の調達という大きな壁が立ちはだかる。さらには熟練した技術も必要だ。当然それ相応の資金が必要になることも間違いない。そんな苦労や費用がかかってもレストアしたい人たちがおり、専門ショップも全国に営業している。
だが古いクルマをいつまでも乗り続けることは、今の日本では決して良いことではなくなってしまった。自動車税は、新車登録から13年が経過すると約15%アップする。自動車重量税は、13年に加えて、18年超えると、さらに増税される。日本は古いクルマにとって住みにくい国となっている。
税率が上がるのは、環境問題が主な理由だ。排気ガスや燃費性能は、13年を超えると環境に大きな負荷を与えるというのが国の考えだ。だが13年ごとで乗り替えることが、果たして本当のエコに繋がるのだろうか。
クルマの生産は、それ自体が多くの環境負荷を与える。もちろん自動車メーカーも対策しているが、全く0にすることなど夢物語であって、必ず環境負荷が発生する。しかも乗り替えとなれば、新車製造の環境負荷と廃車する環境負荷の2つが発生する。
小さな頃から、ものを大切にしなさいと言われてきた人も多いだろうが、ことクルマに関して言えば、日本の税制は長く大切にすればするほど不利になるのだ。
今回レストアされたシーマのように、古いクルマを素晴らしく復活させるためには、確かに今の体制では大きな費用がかる。だがこのレストアという技術がさらに浸透すれば、1台の気に入ったクルマを生涯乗り続けられ、まだ使えるクルマを廃車にするという、もったいないことも減るのではないだろうか。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)
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