コロナ禍で生命保険の加入熱上昇 生命保険料控除の利用を忘れずに

2021年10月8日 20:02

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 コロナ禍が長期化する中、精神的な疲労やストレスの蓄積によって免疫力が低下し、これまで健康であった人も、感染病や生活習慣病に悩まされることが多くなっている。そこで関心事となっているのが生命保険の新規加入や見直しだ。

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 エイチームフィナジー調査(2020年6月)では、『コロナ感染の流行によって生命保険の必要性を実感したと回答した人が72.8%』にのぼったという。既に加入していた生命保険に、新たに新規契約を追加した人も64.2%と高い数値であった。生命保険には介護保険や年金保険といった生存中に保険金を受け取るタイプもあり、老後資金への不安解消を目的とした加入も目立つ。

 行政が生命保険加入に対して減税制度を実施していることは知っているだろうか。この生命保険料控除については、実際の節税効果があまり世間に浸透していない節がある。ここで具体的な節税効果を検証してみよう。

 現在の国民の平均年収より若干低い年収400万円をサンプルとする。このケースでの所得税だが、基礎控除のみで計算すると手取り額は約312万円、所得税は8万円(税率5%)で住民税が約18万円の計算となる。もちろん配偶者や子の有無などによって控除額が異なるため、おおよその金額だと承知していただきたい。

 つまり、年収400万円の世帯は、年間26万円前後の税金を納めているということだ。これは、ひと月分の手取り給与額に相当する。コロナ禍で生活費が圧迫されている中で、この金額を負担するのは実に苦しいところだろう。しかも、将来の生活を守るために保険加入率が高まっており、生きるための必要経費が嵩みがちの現状だ。

 ここで、多少だが助けとなるのが生命保険控除制度だ。控除内容をざっくり言えば、加入している生命保険の保険料を最大12万円まで所得控除にすることができる。一般の生命保険・個人年金保険・介護保険と、各世帯が加入している保険は複数にわたることだろう。合計の年間保険料が12万円を超えることは珍しくない。なお、住民税も最大7万円まで控除に適用できる。

 そこで実際の減税額だが、年収400万円の人は所得税から6000円(12万円×5%)と住民税から7000円(7万円×10%)で、計1万3000円の減税となる。この金額はちっぽけだということもできるが、ちりも積もれば山となるのことわざの通り、細かな減税制度を丁寧に拾い集めるのも資産運用のコツだ。行政はコロナ禍の緊急支援策として、住宅関係の減税強化やエコカー減税、各種給付金などさまざまな生活支援制度を実施している。

 その一方で、実際問題として、その恩恵にあずかっている人は決して多くない。先に挙げた生命保険控除制度も確定申告による自己申告が条件であるため、実際に見逃している人が多くいるのだ。世帯の収入が頭打ちの現在、いかに出費を抑えていくか、特に税金は最も実行しやすい節約術の1つである。将来の生活を少しでも安定させるために、ぜひ実践していきたい。(記事:TO・記事一覧を見る

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