富士通が個人向けにIaaSの提供開始 副業の後押しとなるか

2021年9月23日 17:13

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 富士通が個人向けのIaaS提供を発表したが、これは副業者にとってもいいニュースだろう。ITの副業ではITリソースの確保が大きな障害だったが、個人向けIaaSがこの悩みを解決してくれるかもしれない。本記事では、富士通の新たな個人向けIaaSの概要と、PaaSやSaaSとの違いについても紹介する。

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■個人向けIaaSは副業者にも大きなメリット

 富士通は22日、12月より個人と個人事業主向けのIaaSを提供開始すると発表した。販売されるのは、「FJcloud-O」(FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O)と「FJcloud-V」(FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V)の両クラウドサービスである。

 Red Hat OpenStackベースの「FJcloud-O」は月額6,000円から、VMware vSphereベースの「FJcloud-V」は月額2,210円からと、料金設定されている。販売は新たに開設される「Fujitsu Cloud Direct」を通じて行われ、キャンペーンにより「FJcloud-O」は最大30日間無料、「FJcloud-V」も最大2カ月間無料となる。

 富士通のIaaSは、主に企業など法人をターゲットにしてきたが、多様化する働き方と高まる個人向けITのニーズに対応する形となった。副業・兼業やITフリーランスエンジニアの増加だけでなく、近年ではコロナ禍により社会全体でオンラインを通じたビジネスの重要性がより増している。クラウドサービスの利用が個人レベルまで広がれば、ITのクラウド化もさらに進んでいくだろう。

 副業者の視点で見れば、富士通の個人向けIaaSは副業ビジネスの強い味方として期待できる。物理サーバーをはじめ、ITリソースを個人で用意するのはコスト面でも現実的ではない。そのため、ITの副業は選択肢が限られてきたが、クラウドサービスを利用することで可能性を広げられる。

■PaaSやSaaSに比べカスタマイズ性と柔軟性に優れている

 IaaS(Infrastructure as a Serviceの略)とは、近年ビジネスシーンで導入が進むクラウドサービスだ。ITリソースをオンライン上にクラウド化することで利便性を高め、物理的な設備にかかっていたコスト削減にも貢献する。単純なレンタルサーバーとは異なり、IaaSにようなクラウドサービスは、ネットワークやストレージなど、ITリソース全般をカバーしてパッケージ化していることが大きな特徴だ。

 似た用語にSaaS(Software as a Serviceの略)とPaaS(Platform as a Serviceの略)があるが、これらもIaaSと同じクラウドサービスである。違いは提供形態にあり、SaaSが最もユーザーの管理する範囲が少なく、PaaS、IaaSの順にその範囲は増えていく。同時に、柔軟性の点ではIaaSが最も優れ、PaaSからSaaSの順にカスタマイズ性は低くなる。

 クラウドサービスはパッケージ化されている特徴から、カスタマイズ性と柔軟性にデメリットがあった。しかしIaaSはその問題を解決し、必要なITリソースだけを選択して利用できるクラウドサービスである。

 反面、ユーザーの管理する範囲が広いため、ある程度の専門知識が必要だ。そして、オンラインが前提であることから、インターネット環境に利用の快適性が大きく左右される。副業での個人利用の場合、インターネット環境の構築には特に気を配るべきだろう。(記事:西島武・記事一覧を見る

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