AIによる人事、ピープルアナリティクス 定量データ活用でミスマッチ人事回避

2021年8月26日 17:21

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記事提供元:エコノミックニュース

アッテルが「日本企業のピープルアナリティクス現状調査」。アメリカで活用が進んでいるピープルアナリティクスを知っている人事担当は38%のみ。「導入されていない」が60%。

アッテルが「日本企業のピープルアナリティクス現状調査」。アメリカで活用が進んでいるピープルアナリティクスを知っている人事担当は38%のみ。「導入されていない」が60%。[写真拡大]

 日本の人事は縁故によるものが主流で、人事担当や上司など人間が感覚的に従業員の能力を評価し業務担当を決定するのが一般的だ。適材適所というが、現代の企業業務は高度に専門化し、各担当がその分野について専門スキルを持っていなければならない。これを実現するには人間の感覚による人事では限界がある。GoogleやFacebookですでに導入されているピープルアナリティクスとは従業員の人事的特性についてコンピュータが自動的にデータを収集し分析することで人事に関する個人的情報を明確化する。企業にとって適材適所が実現されるだけでなく、従業員にとっても自分が獲得してきた専門スキル・キャリアを活かすことができモチベーションのアップにもつながる。

 日本企業におけるピープルアナリティクスの活用状況について、AI(機械学習)による人事システムを運営するIT企業のアッテルが人事担当者106名を対象として6月に「日本企業のピープルアナリティクス現状アンケート調査」をインターネット上で実施、7月5日にその結果レポートを公表している。レポートによれば、「ピープルアナリティクスという言葉を知っているか」という問いに対して、「はい」と答えた者の割合は38%、「いいえ」が62%となっており、まだまだ日本では認知度は低いようだ。

 導入状況については、「全く導入されていない」が60%で、「貴社の人事は感覚的に行われていると思うか」という問いには、「はい」が66%と、日本企業の多くが、未だに勘や経験による人事を行っているようだ。レポートでは「人事領域においては、根拠のない自信を持つ人が多いことも分かっており、結果として多くのミスマッチを生み出してしまっている可能性が高い」と指摘している。

 「人事情報を定量的に分析しているか」という問いには、「はい」が45%、「いいえ」が55%となっている。その分析の目的は、「採用」31%、「適正配置」23%、「適正評価」20%、「教育」15%、「退職防止」11%となっている。分析が「打ち手に繋げているか」という質問には、74%の担当者が「繋がっていない」と答えており、データの蓄積があっても、どのように分析し活用すべきか分からない状況のようだ。代表取締役の塚本鋭氏は「データ分析は、やみくもに実施しても効果的ではなく、目的を設定し、成果や打ち手から逆算して、分析を行うことが重要」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)

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