新型コロナワクチンの「職域接種」から見える「回復」の兆し

2021年6月13日 17:27

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記事提供元:エコノミックニュース

日本でもようやく、新型コロナウイルスのワクチン接種が動き始めた

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日本でもようやく、新型コロナウイルスのワクチン接種が動き始めた。世界と比べると、日本のワクチン接種はやや出遅れた印象があるが、そもそもの感染者数が世界と比べて少ないため、日本へのワクチン供給が後回しになったことも仕方がないかもしれない。現在、自治体や自衛隊の協力のもとで、接種が急ピッチで進められている。一日も早く、希望者への接種が行きわたることを期待したい。

 政府が公表している都道県別の最新実績によると、6月7日現在、1回目の接種を終えた高齢者は全国で774万7259人。高齢者全体の21%余りに留まっている。しかし、各都道府県で大規模接種会場も続々と開設されており、今後は接種における工夫事例も共有されて、問題なども改善されていくであろうことから、ワクチン接種スピードは加速していくと考えられる。

 さらに政府は、ワクチン接種に関する地域負担の軽減と、接種の加速化を図るため、6月21日から、企業や大学などでのワクチン接種を解禁。いわゆる「職域接種」を呼びかけている。ワクチン接種を加速されるにあたって、効率の良い取り組みであるのは間違いないが、少なからず懸念点もある。それは「打ち手」と「会場」の確保だ。

 大企業の場合には、その企業に属する病院や、産業医などが存在する。地域に負担をかけず、大規模接種が可能な会場も用意できるだろう。しかし、中小企業にとっては双方を確保するのは難しい。職域接種を成功させるには、この難問をクリアする必要がある。とはいえ、中小企業の中でもすでに職域接種に向けて動き出している企業もある。それらの企業では、どのような取り組みや工夫が行われているのだろうか。

 国内ハウスメーカーのアキュラホームは、グループの従業員とその家族、さらには取引先である中小企業や、主宰する全国工務店組織の会員企業まで範囲を拡大し、全国で1万人規模の「職域接種」実施を目指す方針を打ち出している。しかも、職域接種にかかる費用はアキュラホームグループで負担する。「打ち手」はアキュラホームの施主である医師や看護師に協力を求め、多くの賛同の上で確保するという。会場は、1万人規模の会場を、東京・名古屋・大阪で申請済みだ。

 アキュラホームでは、30年近く前から全国中小工務店とのネットワークを組織し、経営支援を行ってきた。また、展示場を災害支援施設とするなど地域防災にも積極的で、コロナ禍においても、従業員や顧客の安心・安全を念頭に置いた環境づくりに取り組むなど、「職域接種」に取り組み易い土壌を培っていた。接種目標は1万人だが、希望があれば、取引先以外の中小工務店などにも範囲を拡大し、3万人規模の接種も視野に入れているそうだ。実に頼もしい取り組みだ。

 「打ち手」と「会場」、双方を確保するサービスを検討している企業も存在する。全国で貸会議室を運営・管理している株式会社ティーケーピーだ。コロナ禍で貸会議室の利用自体が落ち込む中、同社では「職域接種」が始まる21日から、企業のワクチン接種会場として、無償で会議室を貸し出すことを決定した。サービスを公表した後、数多くの問い合わせが寄せられたそうだ。その中で、「打ち手」の不安の声が多く、現在、医療従事者の確保も請け負うサービス展開について、調整を進めているそうだ。

 「職域接種」の範囲は大学も含まれている。文部科学省では、既に40人程度の対応チームを立ち上げ、800の大学に職域接種の意向を確認。20程度の大学で先行実施を目指す方針だ。医療系学部がある大学は、全体の4割程度存在するので、医療系学部のない大学と連携し、速やかなワクチン接種が実現できるよう、検討を始めている。

 2020年の今頃は、まだまだ得体の知れないウイルスに怯え、ありとあらゆる繋がりや絆が分断されていた。それが一年経ち、未だ予断を許さない状況とはいえ、人と人、企業と企業、大学と大学の繋がりが回復してきた。ワクチン接種の加速と共に、助け合いや思いやる絆も回復することを願いたい。(編集担当:今井慎太郎)

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