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銅価格上昇が示す世界景気
●上昇が止まらない銅
銅相場が1年間で倍以上の値上がりを見せている。
【こちらも】インフレ懸念が株式市場のボトルネック!?
コロナ禍からの世界経済の回復、半導体需要の増加、再生可能エネルギー、電気自動車の普及など様々な要因が重なった。鉱業会社の株も上昇しており、“銅バブル”となっている。
景気や株の先行指標として注視され、ドクター・カッパーとも呼ばれる銅価格の上昇は、明るい景気見通しを示しているのか?
●銅の使われ方
銅生産はチリが1位で世界シェアの30%を握っている。2位がペルー、3位が中国となっており、2004年以降は中国の伸びが顕著となっている。世界の銅消費量の半分は中国が占めている。
銅は熱伝導率や導電性が高く、パソコン、スマホ、エアコン、自動車、半導体など様々なものに使われる。
今後、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの脱炭素社会だけでなく、IoTの進化によってもさらなる需要増が見込まれている。
●インフレ傾向の象徴!弊害も!?
中国のコロナ後の強い経済回復によって、需給がひっ迫する恐れがある。中国政府は輸出入の在庫管理や、市場の監視強化などの価格抑制策を打ち出している。しかし、需要を抑制して、消費を冷やすような策には踏み込めず、これ以上の対策は難しい。
チリでは、左派勢力に躍進により、環境や鉱業権の規制強化に乗り出す可能性があり、大幅な増税による価格上昇も不安材料だ。チリ鉱山では、ストライキがたびたび起きており、ストが起きればさらなる価格上昇も懸念される。
銅は投資先として、魅力的ではないとされてきたが、近年になって急に注目されるようになった。今後、銅が原油や金のように投機マネーに左右されやすくなることは避けられないだろう。銅に限らず、原油などのあらゆるコモディティ価格の上昇傾向にある。
新型コロナウイルスの収束による景気回復が見えてきたことで、急激な需要増が起こり、様々なものの価格が上昇している。世界的にインフレ傾向にあることから、銅に限らず、インフレに対する警戒が相場を動かす可能性もある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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