うつ病向けデジタル治療VRを共同開発 帝人ファーマとジョリーグッドが提携

2021年4月24日 14:36

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うつ病向けVR DTxのイメージ(画像:ジョリーグッドの発表資料より)

うつ病向けVR DTxのイメージ(画像:ジョリーグッドの発表資料より)[写真拡大]

 ジョリーグッドは23日、VRを用いたうつ病向けのデジタルセラピューティクス(うつ病向けVR DTx)の共同開発において、帝人ファーマとの業務提携を発表した。ジョリーグッドは、医療福祉向けのVRソリューションやAIサービスを開発するテックカンパニー。今後は両社の強みを活かし、システムやコンテンツの開発と治験を進め、うつ病の治療法として公的健康保険の適用を目指すという。

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 提携のきっかけは、帝人ファーマが行っているベンチャー企業との事業共創プログラム「Home Healthcare Award」の受賞にある。

 Home Healthcare Awardとは、帝人ファーマが在宅医療分野での新たな製品・サービス開発を目指し、ベンチャー企業から事業提案を公募・選抜する取り組み。取り組みを通じて、ベンチャー企業の技術やアイディアと帝人ファーマの知見やネットワークを組み合わせ、新たな事業創出を目指している。

 ジョリーグッドはAward の2回目となる2020年に受賞。受賞テーマは「認知行動療法VR」で、これがうつ病向けVR DTxのベースとなっている。

 認知行動療法とは、うつ病を含む精神疾患病の治療法の1つ。ものの考え方や受け取り方など認知のあり方が、気分や行動に影響を与えることから、患者と医療者との対話の中で認知の偏りを修正し、問題解決を促す。うつ病向けVR DTxは、患者と医療者の対話にVRを組み合わせ、感情喚起や認知の偏りをサポートする。

 例えば、対話の際に時間やスキルを要するシチュエーションや事象説明をVRで実施。患者はVRで様々な出来事を当事者体験できるため、イメージの齟齬が無くなり、「楽しい」などの感情が持ちやすくなる。また相手の立場なども疑似体験できることで、認知行動療法に必要な行動の客観視をしやすくなる効果もある。ジョリーグッドは、認知行動療法へVRを組み合わせることで、治療効果の向上や短期化を目指していくという。

■VR開発を担うジョリーグッドとは

 創業は2014年で、VR/AIを活用したソリューション・コンテンツ開発がメイン事業。現在は医療福祉系領域に力を入れているが、以前は放送局の番組連動VRやサービスの疑似体験VRなどを手掛けていた。

 医療福祉系にシフトし始めたのは、2018年のジョンソン・エンド・ジョンソンとの医療研修VRの共同開発以降。医療研修VRは、名医の手術をVRで体験・解説が受けられ技術習得を支援する。その後、発達障害の方の社会参加を支援するVRや、医療セミナー・学会での臨床体験VR、認知行動療法VRなどを手掛け、今回のうつ病向けVR DTxへと至った。

 事業の成長性が認められ、2021年3月にはジャフコなどから10億円を資金調達、累計の調達額は22億円に到達した。4月にはVR/AIによる精神疾患向けのデジタル治療推進部署を新設。新部署には精神科専門医も正式参画し、事業化の推進・加速を図っていくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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