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病院職員に厚労省職員、報道機関職員の飲み会でルール違反続発! 意味するものは何か?
新型コロナウイルス第4波への警戒を呼び掛ける声の大きさに反して、都市部や繁華街の人波が復活しつつあることへの懸念が語られている時期に、何とも間の悪い3件の事例が相次いだ。
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(事例1)東京都3月13日は、都立墨東病院(墨田区)に勤める研修医、看護師、放射線技師の20代の男女合計5人が、4日の18:00~20:00にかけて病院近くの居酒屋で飲み会を開催したこと、その後研修医の自宅で24:00頃まで2次会を継続したこと、5日後の9日に5人全員がPCR検査で陽性判定されたことを公表した。
(事例2)厚生労働省は3月29日、24日の深夜に厚生労働省の幹部を含む職員23人が、銀座の飲食店で会食していたことを明らかにした。23人は老健局で介護保険制度を担当する職員で、送別会だったと伝えられているが、東京都により営業時間の短縮が要請されていた真っ最中だった。4月8日になって、当該部署から感染者(PCR検査陽性判定者が正しい)が6名、内3名は送別会参加者であることが報道される「おまけ」が付いた。
(事例3)4月6日にはテレビ朝日系の「羽鳥慎一モーニングショー」で、同局系の「サンデーLIVE!!」(日曜・午前5時50分)の、番組スタッフ9人がスタッフルームで送別会を開催後、6人が近隣の飲食店での2次会に参加し、4人がPCR検査で陽性と判定されたことを報じた。
感染の再拡大が懸念されている直近の1カ月ほどの間に、期せずして新型コロナの感染防止を指導する厚労省の職員と、治療を担当する都立病院の職員、感染情報を周知し啓蒙してきたはずの放送局の職員による、不適切な事例が相次いで報道された。
新型コロナ対策の最前線で発生したこれらの事態が暗示するのは、新型コロナウイルスに関連して伝えられて来た恐ろしさとは裏腹に、その実態がそれほど怖いものではないと「見切った」想いだ。マスコミは相変わらず連日、感染者(同上)数を細かく伝えて、危機感を煽っているが、第一線にいる彼らがそれほど恐れるような感染症ではないと、気付き始めていることを感じさせる。
新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は3月5日の参議院予算委員会で、「年内に人口の6~7割がワクチン接種を受けても、今年の冬まで感染が広がり、時々重症者も出る」と述べるとともに、「あと1~2年程経過して、季節性インフルエンザのようにそれほど不安感が無くなれば」終息という見解を披露した。
政府の分科会の代表者が、PCR検査陽性判定者の減少ではなく、「不安感が無くなれば終息」と表現している裏を読めば、「新型コロナウイルスの怖さは、季節性インフルエンザと同等のものだ」と言っているに等しい。
当初過大に煽られた余熱がいまだに尾を引いている。いまさら「それほど怖くないから心配するな」と言う訳にも行かないから、時の経つのを待つということだ。
もちろん基礎疾患のある人たちや、高齢者が油断するのは禁物だから、該当者へのワクチン接種が望まれるのは論を俟たない。一巡した頃に、マスクと新しい生活習慣を身に着けた人々が、東京オリンピックを見守るという流れが見えて来る。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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