NYの視点:今週の注目:FDA諮問委員会、米CPI、PPI、JOLT、ECB

2020年12月7日 07:36

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記事提供元:フィスコ


*07:36JST NYの視点:今週の注目:FDA諮問委員会、米CPI、PPI、JOLT、ECB
円の買い持ち高は前々週からさらに増加し9月来で最高となった。市場が買い持ちに過剰に傾いたため円の上昇余地が狭まる。

米国はECBが定例理事会を予定しているほか、食品医薬品局(FDA)は10日の諮問委員会でファイザーのワクチンに関し協議する見通しで結果に注目される。米国ではさらに、追加経済対策の行方、JOLTやインフレ指標が発表予定で注目材料となる。

欧州中央銀行(ECB)は、定例理事会で主要な手段であるパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)や貸出条件付きの流動性供給オペ(TLTRO)を利用した追加緩和パッケージを発表すると見られている。欧州ではウイルス拡大で規制を強化、英国やフランスは再び緩和しているが、ドイツは部分的な外出規制を1月まで延長する方針で、域内の経済が2番底入りする可能性が警戒されている。ECBのユーロ高けん制にも警戒され、上値が抑制される可能性がある。

バイデン政権の財務長官に指名されたイエレン前FRB議長が労働市場の動向を判断するために雇用統計と並び注目していた10月JOLT求人で労働市場のスラックをさらに見極めていく。労働参加率の低下が懸念されており、スラックが再び深刻化した場合、FRBの追緩和の憶測を強める。

英国政府はすでに米製薬会社ファイザー開発の新型コロナワクチンを承認済みだが、トランプ大統領は、8日にワクチンサミットを開催。緊急使用許可や配給に関して協議する。その後、米食品医薬品局(FDA)は10日の諮問委員会でファイザーのワクチンに関し協議する。もし、緊急使用許可が下りれば24時間以内に支給される見通しで、回復期待を強め、ドル買いに繋がる可能性がある。

パウエル議長を筆頭に連邦準備制度理事会(FRB)の高官はワクチンは中期的に見通しにプラスとなるが経済への効果が不透明で、新型コロナウイルスがさらに猛威を振るうと見られる今後、3−6カ月間の経済がリスクに直面すると警戒態勢を緩めていない。11月雇用統計が弱く、12月FOMCでは資産購入プログラムのガイダンス強化が予想されているが、追加緩和を示唆する可能性も除外できない。

英国では緊急使用が承認されたファイザーワクチンの接種が開始する。一方で、欧州連合(EU)との通商交渉は今月31日に離脱を控え、中断するなど、合意ない離脱のリスクに直面。英国のジョンソン首相と、欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン委員長が5日に協議する模様で動向に注目が集まる。ポンドの変動率は引き続き高止まりすると見る。

■今週の主な注目イベント

●米国
8日:7−9月期非農業部門労働生産性、単位人件費(8日)、トランプ大統領、ワクチンサミット開催
9日:10月卸売売り高、10月JOLT求人
10日:11月消費者物価指数(CPI)、新規失業保険申請件数(10日)米食品医薬品局(FDA)が諮問委員会開催
11日:11月生産者物価指数(PPI)、12月ミシガン大消費者景況感指数(11日)

●欧州
_7日:欧州連合(EU)復興基金、予算期限
8日:ユーロ圏GDP確定値、独ZEW
10日:ECB定例理事会、ラガルドECB総裁会見:追加緩和パッケージを発表(PEPP、TLTRO)

●英国
10日:GDP

●中国
11月輸出、貿易収支
9日:11月PPI、CPI

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
シリア
イエメン
香港《CS》

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