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長距離ランナーは腸内細胞に変化 「ランナー下痢」解明へ 摂南大などの研究
日常的に長時間かつ強度の強い運動を行う長距離ランナーは、運動後に下痢などの消化器異常が起きやすいことが知られている。この現象は「ランナー下痢」と呼ばれており改善の必要性が指摘されてきたが、明確なメカニズムは判明していなかった。
摂南大学、京都府立大学、日本体育大学、京都府立医科大学、栄養・病理学研究所の研究グループは24日、長距離ランナーは腸内の特定の代謝物質や細菌が一般的な人よりも多く、腸内環境に影響していることが判明したことを発表した。
今回の研究における調査は、健常な女性14人と女性長距離ランナー15人を対象に行われた。
被験者の大便を採取し、代謝物質や細菌の定量的な解析を実施してその傾向を比較。結果、下痢に関わる腸内の代謝物質が長距離ランナーに多いことが明らかになった。
長距離ランナーの便中から、下痢の原因となるコハク酸が一般的な人よりも高い濃度で検出された。それと同時に、フィーカリバクテリウム属細菌の比率も高いことが示された。この細菌は腸内環境によってはコハク酸を産生することが知られており、下痢の原因となっている可能性が示唆される。
さらに、腸の炎症と関連することが報告されている細菌の比率も、長距離ランナーでは高いことが判明した。この原因に関しては現時点では明らかになっていないが、解明が進めば腸内環境改善の鍵となり得る。原因によっては、食事内容や生活リズムなどを工夫することによってランナー下痢を抑制することも可能である。
アスリートの体調管理に役立てるために、腸内環境やそれによってもたらされる不調についてのさらなる研究が望まれる。特に、強度の強い運動が腸内環境にどのようなメカニズムで影響しているかは重要な知見となり得る。また、アスリートだけでなく一般的な運動を行う人にもその知見が応用できる可能性もある。
今回の研究成果は「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」誌のオンライン版に10月31日付で掲載されている。
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