クルマの常識再確認 その1 燃料関係

2020年9月10日 12:01

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給油口がある側を示す◀マーク ©sawahajime

給油口がある側を示す◀マーク ©sawahajime[写真拡大]

  • 種の給油ノズル ©sawahajime

 自動車業界での経験が長いと、相手もそれなりの知識があることだと思ってしまう。だから時折ネット検索して、一般の人達の間で交わされている、時には「常識外れ」だったり、頓珍漢なやり取りも確認し参照している。

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 ネット上で見かける間違い知識をヒントに、今回は、「対立意見」や「見解の相違」が少ない問題点を採り上げて見たい。

 昨今の車は、燃料さえ補給しておけば、何もしなくても特段の問題が無いと思われている節がある。そこで今回は、燃料関係の話題を採り上げたいと思う。

●ガソリンスタンド

 一般的なガソリンスタンドには、ガソリンスタンド従業員が、給油や窓拭きまでやってくれる「フルサービス」と、車で乗り付けたドライバーが、油種を選んで、自ら給油ノズルを操作して給油する「セルフサービス」の2種類がある。

 圧倒的に多いのが、後者のセルフスタンドだろう。勿論、価格的には「セルフスタンド」の方が割安だ。

 因みに、燃料計の「スタンドの絵」の横に「◀マーク」がある側に、給油口がある。何台かの車を乗り換える場面では、参考にすれば迷わない(写真1参照)。

●給油ノズルは3種ある

 スタンドには、「赤」「黄」「緑」の3色の給油ノズルが備えられている。

 「赤」はレギュラー
 「黄」はハイオク(プレミアム)
 「緑」は軽油(ディーゼル)

 のノズルだ(写真2参照)。

 日本のガソリンには、「レギュラー」と「ハイオク」の2種がある。

 「ハイオク」とは(ハイ・オクタン価=高オクタン価)の略で「オクタン価の高いガソリン」、つまり「アンチノック性の高い」ガソリンだ。レギュラーよりも、リッター当たり10円程度高価である。

 取扱説明書にも記載があるし、燃料タンクキャップを開けると、指定油種が書かれたステッカーが貼ってあるから、自分の車に指定されたガソリンを給油する必要がある。

●軽自動車の燃料

 現在、国内で販売されている「軽自動車」にはディーゼルエンジン搭載車は存在しない。

 従って、「軽油を給油する軽自動車」は存在せず、EV車以外は全てガソリン車であり、これ等の「ガソリンエンジン」搭載車には、「ガソリン」を給油する。「軽自動車だから軽油」とか、冗談みたいな話を聞いたが、間違っても軽油を補給してはならない。

●軽自動車にはレギュラーが一般的

 軽自動車の場合は殆どが「レギュラー」指定だ。

 軽自動車の最大排気量は650cc以下で、最大馬力が64馬力以下に規制されているので、ハイオクを使用するまでの高度なチューニングが不要なことが主な理由だ。

 それに、維持費が安いイメージの「軽自動車」に、1リットル当たり約10円も割高なガソリンを指定しない。勿論、極端なチューニングを施したりして、ハイオク指定となった車は例外だ。

●レギュラー車にハイオクはOK、逆はNG

 「レギュラー」仕様の車に「ハイオク」を入れても支障は無いが、「ハイオク」仕様の車に「レギュラー」を給油してはならない。

 前述の様に、ハイオクとは(ハイ・オクタン価=高オクタン価)の略だ。ガソリンには「オクタン価」がある。

 簡単に云ってしまえば、オクタン価とは「燃え易さの度合い」のこと。オクタン価が高ければ、引火点が高くて燃えにくい。

 高性能エンジンは、圧縮比を大きくして、燃焼エネルギーを大きくするが、そのままだと、ノッキングが発生し易い。そこで、その種のエンジンには「アンチノック性能が高い」=「オクタン価が高い」ガソリンである「ハイオク」を指定する。

 一昔前の車なら、ハイオク仕様にレギュラーを給油すれば、顕著にノッキングが感じられたが、最近の車は「電子制御」で点火時期を調整するから、昔の気化器仕様の時代よりはオクタン価の違いに過敏に反応しなくなった。

 これは、車が最新の機器の力を借りて無理をしていると考えれば良い。エンジンに無理させてはいけない。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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