FB Research Memo(6):新たな体制で次のステージに臨む。不動産テックの次世代サービスが提供開始

2020年8月12日 15:06

印刷

記事提供元:フィスコ


*15:06JST FB Research Memo(6):新たな体制で次のステージに臨む。不動産テックの次世代サービスが提供開始
■中長期の成長戦略

1. 中期事業方針「SiLK VISION 2020」の総括と今後の展開
フリービット<3843>は2016年6月に4ヶ年の中期事業方針「SiLK VISION 2020」を発表し、2020年4月期に売上高500億円、営業利益50億円を目指してきた。結果としては、2016年4月期当時に283億円であった売上高は552億円と大きく飛躍したものの、営業利益では25億円と未達となった。事業領域としては、生活革命への進出を目標に掲げ、先行投資を行ってきた。結果として、IoT、不動産テック、ヘルステック、エドテックにおいて基盤を確立した。

2020年5月からは、田中伸明氏に替わり、同社の創業者である石田宏樹氏(旧代表取締役会長)が代表取締役社長CEO兼CTOとなり、新体制がスタートした。withコロナ時代を想定し、これまで拡大した「インフラ」や「プラットフォーム」のポートフォリオを最適化し、人的リソース・技術リソース・保有データなどを有効活用していくため、グループの一体的運営を可能とする組織に変わる予定だ。2020年8月以降に発表される新中期経営計画「SiLK VISION 2023」骨子にその方向性が示される予定であり、その内容に期待したい。

2. 不動産テック事業の次世代新サービスが提供開始
不動産テック事業のこれまでの成長を支えてきたのは、マンションインターネットサービスである。超大手ハウスメーカー複数社との協業開始により導入が加速してきたが、今後は安定成長となる予想である。次の成長のドライバーとして期待されるサービスが順次スタートしている。

「SPES(Single-Pair Ethernet Service、略称:エスピーイーズ)」は、ギガプライズがNECネッツエスアイ<1973>及びBroadcom Incと連携し共同開発したSPE 技術を活用することによって、マンション既存物件に対して既存電話線を用いてインターネット接続が可能となる世界初の集合住宅向けISPサービスである。このサービスは、主に既存物件向けのサービスであり、ISPサービス業界が長年課題としてきた、既存物件へのサービス導入にかかる入居者との日程調整及び工事調整などの時間的コスト、またそれらの調整を行う管理会社やハウスメーカーの設備投資費用などを縮小し、短期間でインターネット接続を可能とする。2020年1月に受注を開始し、2020年4月からは大東建託グループの大東建託パートナーズ(株)が管理する全国の物件に対し本格導入を開始した。

「PWINS(略称:ピーウィンズ)」は、ギガプライズがD-Linkと連携し開発した、簡単にWi-Fi機器の取り換えが可能となる世界初のDOC式Wi-Fiアクセスポイントである。2020年4月から販売を開始した。主に新築物件向けのサービスであり、従来の壁埋め込み式Wi-FiアクセスポイントからWi-Fi通信を行う無線ユニットを分けた、脱着式となっている。これによってマンションISPサービス業界が課題としてきたWi-Fi規格の変更などによるハードウェア交換時にかかる入居者との日程調整・工事調整などの時間的コストに加えて、こうした調整を行う管理会社やハウスメーカーの設備投資費用などを大幅に縮小することを可能にした。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《ST》

関連記事