NYの視点:ドル指数、2年ぶり安値更新、米追加緩和の思惑

2020年7月28日 07:36

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記事提供元:フィスコ


*07:36JST NYの視点:ドル指数、2年ぶり安値更新、米追加緩和の思惑
米連邦準備制度理事会(FRB)は今週、28日、29日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。この会合で政策変更は予想されていない。スタッフ予測の発表もないが、パウエル議長が会見で強いハト派姿勢を再表明すると見られている。最近のウイルス感染の再燃で回復が停滞、回復を支援する追加緩和の可能性を示唆するとの見方が強まりつつある。

米中対立深刻化懸念が強まったほか、ウイルス感染収束の兆候が見られず経済活動の再開が遅れているほか、追加財政策のめどがまだたたず、米国経済回復への見通しが悪化。FOMCでの声明や議長会見ではでは景気見通しに注目が集まる。さらに、大統領選挙へのリスクもありFRBが長期にわたり緩和策を維持することは正当化される。

市場はFRBが9月会合でフォワードガイダンスを強化するなどの追加緩和措置を導入すると見ている。米国債利回りは過去最低の水準で推移しており、これに伴いドル売りも加速。ドル指数は2018年6月以降2年ぶり安値を更新した。ドル安を受けて金現物は最高値を更新している。

商務省が今週発表予定の4−6月期の国内総生産(GDP)速報値も35%のマイナス成長と過去最大の落ちこみが警戒されており、さらなるドル売り材料となっている。一方、6月耐久財受注速報値は前月比+7.3%と、伸びは5月+15.1%から鈍化したものの予想+6.9%を上回った。自動車や自動車部品の受注86%増が全体指数を押し上げ。受注は依然危機前の水準を11%下回るが回復継続を証明した。国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)出荷速報値は前月比+3.4%と、5月+1.6%から伸びが拡大。2013年11月以降7年ぶり最大となり4−6月期GDPにプラスに寄与した可能性も示唆された。しかし、全般的なマクロ経済の概要を修正するとは考えられておらず、米国でウイルス感染収束の兆候が見られ経済活動の再開が本格化するまでドル売り基調は当面続く可能性がある。《CS》

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