GMOクラウドはテレワーク化や電子印鑑・契約の流れも追い風

2020年7月16日 08:22

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 GMOクラウド<3788>(東1)は、サーバー貸出・管理サービスおよび電子認証サービスを主力として、電子印鑑・契約など新規サービスの収益化も推進している。20年9月1日付で商号をGMOグローバルサイン・ホールディングスに変更する。20年12月期増収増益予想である。新型コロナウイルスで企業のテレワーク化や電子印鑑・電子契約化の流れも追い風となりそうだ。収益拡大を期待したい。株価は6月の上場来高値から反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■クラウド・ホスティング事業とセキュリティ事業が主力

 GMOインターネット<9449>の連結子会社で、サーバー貸出・管理サービスのクラウド・ホスティング事業、電子認証サービス(SSLサーバー証明書発行サービス、企業実在性認証サービスなど)のセキュリティ事業を主力として、小規模事業者向けインターネット関連サービスのソリューション事業も展開している。

 20年9月1日付で商号をGMOグローバルサイン・ホールディングスに変更し、グローバルにおける更なるブランド認知度向上、日本NO.1のトラストサービスを軸とした事業拡大を推進する。

 19年12月期の構成比(連結調整前)は、売上高がクラウド・ホスティング事業42%、セキュリティ事業51%、ソリューション事業8%、経常利益構成比(連結調整前)はクラウド・ホスティング事業44%、セキュリティ事業79%、ソリューション事業▲23%だった。

 クラウド・ホスティング事業では、既存ホスティングサービスの統廃合でコスト削減を推進するとともに、クラウドサービスの拡大に注力している。19年4月には新クラウド導入支援・設計・構築・監視・運用を代行するサービスCloudCREWを開始した。

 セキュリティ事業では、SSLサーバー証明書の国内市場シェアが、19年6月に50%を突破した。また20年1月には、連結子会社GMOグローバルサインのクラウド型電子署名ソリューションDigital Signing Suiteの月間署名数が、グローバルで100万件を突破した。

 20年4月には、GMOグローバルサインがインフィニオン社と連携してマイクロソフトAzure IoT HubへのIoTデバイス登録ソリューションを提供開始、DocuSign社とテクノロジーパートナーシップを締結した。20年5月にはGMOグローバルサインの企業向けシングルサインオンサービスが、WEB会議システム「ZOOM」および「Cisco Webex」と連携開始した。

■電子印鑑・契約など新規サービスの収益化推進

 ソリューション事業では、電子印鑑・契約サービスAgree、オンラインゲーム開発エンジンPhoton、自動車向けIoTソリューションのLINKDriveシステムを活用したコネクテッドカー事業など、新規サービスの収益化を推進している。コネクテッドカー事業については、20年1月GMOモビリティクラウドとして分社化、20年3月双日<2768>との合弁会社とした。

 20年4月にはGMOインターネットグループ全体で、お客様の各種手続きから印鑑を完全撤廃(監督官庁、金融機関への提出書類において捺印を必要とする場合を除く)すること、および電子契約のみとすることを決定した。そして電子契約の普及・発展を推進するため、電子印鑑・契約サービスAgreeのStandardプランを1年間無償提供する取り組みを開始した。

 20年5月には、電子印鑑・契約サービスAgreeと、LegalForce社のAIによる契約書レビュー支援ソフトウェアLegalForceのサービス連携(20年8月予定)を発表した。

■20年12月期増収増益予想

 20年12月期の連結業績予想は、売上高が19年12月期比4.4%増の136億91百万円、営業利益が7.1%増の15億42百万円、経常利益が5.7%増の15億70百万円、純利益が5.5%増の11億32百万円としている。配当予想は2円54銭増配の49円13銭(期末一括)である。

 IoT分野を次の事業戦略の柱として、電子署名・電子契約サービスやクラウド運用のマネージドサービス、カークラウド事業など新規サービスの収益化を推進する。セグメント別の計画は、クラウド・ホスティング事業が2.2%増収で3.4%営業増益、セキュリティ事業が4.0%増収で3.9%営業増益、ソリューション事業が31.1%増収で営業赤字縮小としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比6.9%増の34億45百万円で、営業利益が5.0%増の4億15百万円、経常利益が24.4%増の4億93百万円、純利益が10.3%増の3億59百万円だった。各事業とも売上が順調に推移した。コスト面ではサーバー費が増加したが、ソフトウェア費や旅費交通費が減少した。

 クラウド・ホスティング事業(7.0%増収で15.6%営業増益)は、マネージドクラウドサービスCloudCREWの大型案件獲得などで増収だが、サーバー費など原価が増加した。セキュリティ事業(4.6%増収で2.3%営業増益)は、新型コロナウイルスの影響で一部営業活動に支障が出たものの、電子文書に対するセキュリティ意識の高まりを背景に国内外でSSLサーバー証明書が増加した。ソリューション事業(23.0%増収で営業赤字縮小)は、電子印鑑・契約サービスAgreeが好調に推移した。オンラインゲーム開発エンジンPhotonも回復傾向となった。

 第1四半期の進捗率は売上高が25.2%、営業利益が27.0%と概ね順調だった。新型コロナウイルスで企業のテレワーク化や電子印鑑・電子契約化の流れも追い風となりそうだ。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年12月末時点で6カ月以上保有株主対象

 株主優待制度は毎年12月31日時点で、1単元(100)株以上・6カ月以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

 株価は6月の上場来高値から反落した。急伸後の反動局面で乱高下の形だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月15日の終値は8070円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS98円27銭で算出)は約82倍、今期予想配当利回り(会社予想49円13銭で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS556円31銭で算出)は約15倍、時価総額は約944億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
エフティグループは調整一巡、20年3月期営業増益予想で3Q累計順調(2020/02/18)
【特集】約1カ月ぶりに再開されるIPOの類似関連銘柄に注目(2020/01/27)
【特集】意外な業績好調銘柄とコロナウイルス関連に上乗せの花粉症関連銘柄をマーク(2020/01/27)
【CSR(企業の社会的責任)関連銘柄特集】イワキのCSRは「小さな社会貢献活動」として地道に継続(2020/02/04)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事