長期金利が3月以来の高水準に 債券価格と金利の関係とは

2020年7月2日 16:47

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 7月2日の債券市場で、長期金利が上昇している。長期金利の動きを示す新発10年物国債利回りは、前日比0.005%高い0.050%となった。2020年3月23日以来の高水準だ。

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 長期金利上昇の原因はなんだろうか?また、金利がどう動くのかわからない人も少なくない。長期金利はどう動くのか、金利と債券価格の関係ついても解説する。

■長期金利上昇の理由

 長期金利が上昇したのは、米国の景気回復への期待感が強まったからだ。製造業景況感指数が上昇し、雇用関連指数も改善した。

 景気回復の兆しに、投資家のリスク回避傾向が和らいだ。安全資産とされている米長期債を手放す投資家が増え、株や投資信託などのリスク資産へ投資資金が回った。その結果、日本市場でも債券の売りが先行したのだ。

■長期金利とは

 そもそも、長期金利とは何だろうか?

 長期金利とは、長い間、お金を貸すときにかかる金利のことを言う。基本的に1年以上が長期で、1年未満が短期とされている。長期金利が発生するものの代表例として、債券がある。

 債券とは、国や会社が投資家から借金できる証書のようなものだ。国が債券を発行して、投資家がその債券を買えば、投資家が国にお金を貸したことになる。借金なので、投資家は利子をもらえる。その利子を決めるのが、長期金利なのだ。

■長期金利はどのように変動するのか?

 長期金利は債券の需給によって決まる。

 例えば、日本の国債を例に考えてみる。国債には元本価格である「額面」と、その額面に応じた利子である「固定利付債」が決まっている。額面が100万円で、1年間で3%の利子がつく国債なら、購入した1年後に3万円の利子を受け取れる。

 ただし国債の額面は日々、動く。国債の額面は需給によって決まるかからだ。債券を求める人が増えれば価格が上がり、減れば下げる。

 国債を手放す人が増え、国債の額面が98万円に下落したら利率は3.06%に上昇する。つまり、金利が上昇したのだ。利率は、受け取れる利子の金額3万円を、額面98万円で割って導いた。

■今回の長期金利上昇に当てはめる

 今回の長期金利の上昇も、同じメカニズムで起こった。

 景気の回復兆し見え、債券を売って株や投資信託などの購入が増えた。債券の需要が減って額面が下落し、金利が上昇したのだ。

 ローンやクレジットカードなど、日常的に借金をする現代では、金利の動きは必ずチェックしたい。(記事:たけお・記事一覧を見る

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