新型コロナの感染拡大や収束期間、死者数には人口密度や湿度、温度が関係 名工大

2020年6月19日 12:30

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感染拡大、収束期間と人口密度(左)、日絶対湿度との関係(一例)(右)(画像: 名古屋工業大学報道発表資料より)

感染拡大、収束期間と人口密度(左)、日絶対湿度との関係(一例)(右)(画像: 名古屋工業大学報道発表資料より)[写真拡大]

  • 人口密度、気温、絶対湿度の多変量解析から推定した感染拡大期間と実測値との比較(画像: 名古屋工業大学報道発表資料より)
  • 100万人あたりの感染者数と人口密度(左)、人口密度で正規化した感染者数と日最高気温との関係(一例)(右)
  • 人口密度、高齢者の割合、気温、絶対湿度の多変量解析から推定した百万人あたりの感染者数と実データとの比較

 名古屋工業大学は17日、新型コロナウイルスの感染拡大や収束期間、感染者数、死者数等について、都府県毎の人口密度や温度、絶対湿度(一定量の空気中に含まれる水蒸気の絶対的な量)等が関係していることを突き止めたと発表した。研究グループでは、新型コロナウイルスの第2波が懸念される現在、この研究結果は有益な知見になるのではないかと期待している。

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■新型コロナの感染拡大と収束期間に人口密度や温度、絶対湿度が関係

 研究グループは、1日当たりの新規感染者数が10名以上となった19の都府県を対象に、1日当たりの新規感染者数に関して1週間当たりの移動平均を取り、人口密度、温度、絶対湿度等の要因との相関関係を統計的に分析した。

 すると、人口密度が高くなるほど、感染拡大・収束期間が長くなり、逆に、絶対湿度、温度が高くなるほど、感染拡大・収束期間が短くなる傾向があることが解った。

 そこで、研究グループが、人口密度、温度、絶対湿度の3変数について多変量解析をおこない、得られた数式を使い理論的な予測をおこなったところ、実際のデータとよく一致したという。

 ただ完全には一致しておらず、その要因としては、3月頃の海外からの帰国者やクラスターの発生等の要因が考えられるという。

■新型コロナによる感染者数、死者数には、人口密度や高齢者の割合が関係

 次に研究グループは、1日当たりの新規感染者数が10名以上となり、かつ、累計死者数が4名以上となった14都府県を対象に、感染者数、死者数と人口密度、高齢者の割合、温度、絶対湿度等の要因との相関関係を統計的に分析した。

 すると、人口密度、高齢者の割合が高くなるほど、感染者数、死者数共に増え、逆に、温度、絶対湿度が高くなるほど、感染者数、死者数共に減少する傾向があることが解った。

 研究グループは前述の分析と同様、人口密度、高齢者の割合、温度・絶対湿度の最高値・最低値の6変数について多変量解析をおこない、得られた数式を使って理論的な予測をおこなったところ、実際のデータとよく一致したという。

 以上から、研究グループは、新型コロナウイルスの感染拡大・収束期間、感染者数、死者数には、人口密度が強く関係しており、その意味で、「3密」を避け、適切なソーシャルディスタンスを取ることが重要であると考えられるとしている。

 現在、我が国の新型コロナウイルスの感染状況は小康状態にあるが、決して予断が許される状況ではない。新型コロナウイルスの第2波に対して的確な対策を取るためは、何が原因で、それがどのような結果を生むのか、正確に把握する必要がある。これからの研究の進展に期待したい。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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