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セコム、「あんしんプラットフォーム」構想の実現で成長目指す
「バーチャル警備システム」のイメージ。(画像: セコムの発表資料より)[写真拡大]
セコムは6月1日から5日、同社本社において「バーチャル警備システム」の実証実験を行った。
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「バーチャル警備システム」は、セコムが2021年の実用化を目指して開発を進めているもので、オフィスビルなどにおいて、常駐警備員が行っていた警戒監視や受付などを、ディスプレイ上に3Dモデルで表示した「バーチャル警備員」が提供するものだ。今回の実験では、バーチャル警備員により、来訪者に対する体温チェックやマスク着用のお願いが行われた。
セコムは、日本初の警備会社として、1962年に飯田亮、戸田寿一が日本警備保障を設立したことが始まりである。1964年に東京オリンピック選手村の警備を担当、1966年には防犯・防火センサーで24時間遠隔監視する日本初のオンライン安全システム「SPアラーム」を開始している。
1973年には安全情報科学を意味する「SECOM(セコム)」ブランドを制定。1983年に現社名の「セコム株式会社」へ改称、「社会システム産業」の構築を目指して多くの事業へ進出してきた。
2020年3月期の売上高は1兆601億円。事業別の構成比は、企業向けオンライン・セキュリティ、家庭向けホームセキュリティ、常駐警備、現金護送などのセキュリティサービス事業が53.7%を占める。以下、防災事業が14.4%、BPO・ICT事業が9.5%、メディカルサービス事業が7.2%、地理空間情報サービス事業が5.1%、保険事業が4.5%、不動産・その他事業が5.6%を占めるセコムの動きを見ていこう。
■前期(2020年3月期)実績と今期見通し
前期売上高は1兆601億円(前年比4.6%増)、営業利益は前年よりも126億円増の1,429億円(同9.7%増)といずれも過去最高を更新した。
営業利益増加の要因としては、オンライン・セキュリティシステムの好調でセキュリティサービスが16億円、消火設備の好調と原価低減により防災が40億円、医薬品、医療機器などの提供サービス販売の増加によりメディカルサービスが4億円、ガン保険、火災保険、自動車保険の好調により保険が20億円の増益であった。
さらに公共部門の測量事業増加により地理空間情報サービスが9億円、データセンター事業の増収によりBPO・ICTが17億円、不動産開発増により不動産・その他が15億円、全社調整が5億円と全事業が増益となった。
今期は新型コロナウイルス感染症の影響などを考慮して、売上高は1兆340億円(同2.6%減)、営業利益1,240億円(同13.2%減)を見込んでいる。
■ロードマップ2022による推進戦略
「2030ビジョン」で「あんしんプラットフォーム」構想を見据えて、2023年3月期に売上高1兆1,000億円(対前期比3.8%増)、営業利益1,550億円(同8.5%増)を目指し、次の戦略を推進する。
1.テクノロジーの進化による「つながる社会のセキュリティ需要」に対応して、サイバーセキュリティ分野への積極的進出。
2.労働力人口の減少による「誰かに頼みたい需要」に対応して、無人店舗、キャッシュレス社会におけるサービス創出。
3.海外マーケットへの展開強化。
「社会システム産業」をさらに発展させ、「あんしんプラットフォーム」構想の実現を目指すセコムの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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