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救急心筋梗塞治療の予後 人口密度と医療実績が影響か 横浜市大の研究
研究の概要。低人口密度地域では急性心筋梗塞の院内死亡率が上昇した一方、緊急カテーテル治療の多い病院で治療された患者は、少ない病院で治療された患者と比較して急性心筋梗塞死亡率が低く、低人口密度地域でも緊急カテーテル治療の多い病院では死亡率が抑えられた(画像: 横浜市立大学の発表資料より)[写真拡大]
日本では死亡数の第二位を占める心臓疾患の中で、急性心筋梗塞は心不全と並び最も多い死亡原因であるとされている。急性心筋梗塞は早期での治療が非常に重要であり、救急医療体制がその死亡率に大きく影響される。横浜市立大学が27日に発表した内容によれば、地域の人口密度と病院の診療実績が予後に大きな相関があると判明した。
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横浜市大の研究グループはJROAD-DPCデータベースに記載されている日本全国の64,414人の急性心筋梗塞患者を抽出し調査を行った。JROAD-DPCデータベースは日本循環器病学会が主導して行っている全国調査である。調査の対象として院内死亡数とその地域の人口密度、搬送距離、病院の循環器救急規模の相関を設定した。
欧米の先行研究では、急性心筋梗塞の死亡率と病院までの搬送距離との関係が示唆されている。しかし、日本は世界でも有数の人口密度の高い国であり、搬送距離などにおいて他国とは状況が大きく異なる点に留意する必要がある。このような背景から、横浜市大の研究グループはビックデータを用いて主要なファクターの関係を検討した。
調査の結果、全体的な傾向として人口密度の低い地域では院内死亡率が上昇することが判明した。これは、救急医療システムの整備の程度が急性期治療の成否に大きく関わることを示唆するものである。
また、病院までの搬送距離より各病院のも緊急カテーテル治療件数の多寡が予後と相関があることも示された。緊急カテーテル治療を多く行っている病院で治療された患者は死亡率が低いことがビックデータによって示されている。この傾向は人口密度が低い地域でも同様であった。つまり、緊急カテーテル治療件数が多く体制や知見が確立している病院であれば予後が良好になるということである。
これらの研究成果により、日本でも人口密度による救急医療システムの格差の是正が重要であると考えられる。またそれ以上に、各セクターの連携による循環器病の治療集約化を進めていく必要性が示唆された。
本研究の成果は27日付の「Circulation Journal」誌オンライン版にて掲載されている。
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