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特許取得の元本確保型投信「プライムOne」 シリーズの全てが元本割れ
投信会社「アセットマネジメントOne」の元本確保型投資信託「プライムOne」で元本割れの状況が発生している。同投信は2018年9月から月ごとに募集し、これまで17本が設定。約3,800億円の資金を集め、現在も2本が募集中だ。
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元本確保を目指す投信ながら、元本保証の商品ではない。コロナ感染拡大の影響もあり、25日時点で運用中の17本すべてが基準価額1万円を割っている。分配金を考慮した「トータルリターン」でも、14本でマイナスだ。
同投信はゴールドマンサックスの運用成果に連動する特殊な債券に投資しており、満期時点で元本確保を目指す。特殊な運用スキームが認められ、3月には特許を取得した。
■「国際分散投資戦略指数」は2月後半に急落
同投信は特殊なゴールドマンサックス社債に投資しており、同債券には固定のクーポンとは別に「実績連動クーポン」が設定されている。実績連動クーポンは「国際分散投資戦略指数」および「国際分散投資戦略指数II」に連動する。
両指数は世界の株式先物と債券先物で構成される指数で、2月中旬頃までは順調に推移していたが、コロナ拡大下で下落した。同社債の実績連動クーポンの下落に伴い評価額が下落し、基準価額の下落につながったようだ。
■2018年10~12月の3本でトータルリターンがプラス
25日時点で、同シリーズの17本はすべて基準価額が1万円を割り込んでいる。最も基準価額が下落しているのは<2020-01>の9,036円だ。1月に設定された銘柄で、設定直後からコロナの影響を受けた。
分配金を考慮したトータルリターンがプラスになっているものは、<2018-10><2018-11><2018-12>の3本のみだ。
■元本保証の投資信託は存在しない
同投信は満期時点での元本確保を目指す商品だ。それぞれ設定から10年で満期償還される。現在は基準価額が元本割れとなっているが、満期時点では1万円を超える可能性もある。
ただし、同投信の目論見書には「当ファンドは、満期償還時における元本確保を目指しますが、元本の確保を保証するものではありません」との記載がある。元本確保を目指すことと、実際に元本が保証されるかどうかは別問題ということだ。
同目論見書では、以下3つのケースで元本確保がなされない可能性に言及している。
(1)ゴールドマンサックスが債務不履行に陥った場合
(2)信託期間中の途中解約
(3)繰上償還された場合
上記以外の理由でも元本割れの可能性はありうる。特許を受けた元本確保のスキームがあろうとも、投資信託は元本保証の商品ではないことに注意したい。
投資信託の購入前は、必ず目論見書に記載のリスクを確認してほしい。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る)
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