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学習は客観的視野を身につける第1歩
社会人の皆さんは、学習は何のためにするとお考えでしょうか。教養を身につけるためや、資格取得のためなど、人によって考えは様々です。多様な学習目的のひとつに、客観的思考を身につけることがあげられます。家族で過ごす時間が多い今だからこそ、少しずつ学んでみませんか。
【こちらも】今だからこそ親子で統計を学ぼう
■客観的判断が出来ていないケースが多い
私たちの身の回りはこうしてご覧いただいているインターネットをはじめ、情報が溢れています。日常生活においてはとても便利な反面、困ったことがおきます。確証バイアスです。
私たちは、日ごろから知らないうちに自分にとって都合のよい情報を選択的に収集し、その情報について盲目的に信用する傾向があります。これを確証バイアスといいます。血液型占いなどはその典型です。科学的な根拠は無いのに、多くの人が血液型占いを信用しています。
趣味嗜好の範囲で楽しんでいる分には何ら問題はないのですが、いかがわしい医療効果をうたったサプリや、根拠のない噂に翻弄された結果おきたトイレットペーパーの買い占めなど、害をもたらす例もあげられます。
また、時には政治的世論まで確証バイアスによって動かされたりします。こうした事象はひとりひとり自覚して行動しましょうといった情緒的な理屈だけでは改善されません。
■情報を整理しよう
客観的視野を保つには、まず情報の出所が信頼できるかどうかを判断するところからはじめます。次に、その情報が何を意味するのか、他の情報をもとに自分で判断することです。
以前にも何度か触れたことがありますが、統計やデータの簡単な収集・分析をすることは、自分で判断することに大いに役立ちます。こうした作業が苦手な人でも、身近な事例から学習することで、判断力が養われてきます。
■新型コロナウイルス感染症について
さて、新型コロナウイルス感染症について、日本は感染者を隠しているから、実際はもっと感染が拡大しているに違いない、という評判が世界のニュースなどから聞こえてきます。果たして本当でしょうか。少しデータを集めてみました。
出所
国別人口は総務省統計局「世界の統計2020」を用いた
1000人あたり検査率は、オックスフォード大学の研究機関ホームページより引用
https://ourworldindata.org/covid-testing
(ND表記は、引用文献や類似文献に参考となるデータがないことを示す)
感染者数・死亡者数はWHOホームページのcovid-19特設サイトから、5月14日確定数値を用いた
10万人あたり死者数は筆者作成
表①は、G20諸国のうち、EUを除いた19国の人口と感染率、死亡者数、その割合を取り出し、検査率の高い国から順に並べたものです。日本は検査率が低いから感染者も少ない、という根拠になっていると考えられます。
ところが、日本の死亡者数は少なく、人口10万人あたりでは、韓国に次いで7番目の少なさです。日本では新型コロナウイルスによる重症患者は正確に把握されていますので、死亡者数が偽りであることはありえません。また、同ウイルスの平均的な致死率3.4%から、日本の死亡者数をもとに感染者数を逆算してみても約2万人となり、感染率は1.6%と非常に低くなります。
結論として、予想される感染者数と公表データの差はあるものの、わが国の感染率は非常に低いと言えます。
もしかしたら、ヨーロッパ諸国では感染率が高く、それに比例するように死亡者数も多いため、他の国もそうでなければおかしい、といった確証バイアスから生じた風説かもしれませんね。
最後になりましたが、本稿では関心をもって取り組んでもらえそうなデータの必要上、新型コロナウイルス感染症による感染者数と死亡者数を取り上げ、その国別順序を表記しました。このことにより気分を害された方には、筆者としてあらかじめお詫び申し上げます。
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