関連記事
【どう見るこの相場】「レナウン・ショック」でも問題外!?自社株買いプラスαの割安株に選別高素地
週明けからマーケットは、難問に向き合わされる。レナウン<3606>(東1・整理)の民事再生手続開始である。新型コロナウイルス感染症の拡大による「コロナ倒産」が、ついに上場企業にまで及んだからだ。同社は、2期連続の赤字で経営再建に四苦八苦し、昨年12月末の手元資金がわずか14億1800万円と払底し、今年に入って3月、4月の売り上げが、主要販売チャンネルの百貨店、ショッピングセンターの休業で前年同月比42%減、81%減と蒸発、5月中旬以降の債務支払いに窮して白旗を掲げた。
米国でも、コロナ禍で大手アパレルや老舗百貨店などが相次ぎ破産したことも重なり、週明けからあの「失われた20年」当時と同様にレナウンと同種の「危ない会社」を探り出して限界企業への連鎖売りが仕掛けられ「レナウン・ショック」となるのか、それとも政策手当は進んでいるとして局地的・限定的な反応にとどまり悪材料出尽くしとなるのか、どちらに転ぶかでマーケットのセンチメントが左右されることになる。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)とともに、企業の行動様式は大転換した。最優先の経営課題として、事業継続計画(BPC)が強く意識された。外出自粛、休業要請による売り上げ、需要の蒸発に直面して兎に角、手元資金を潤沢にして難局を乗り切ろうと債券の発行やコミットメントライン契約の締結などが続出した。資本効率を向上させるROE(株主資本利益率)経営はこの際、一休止とされ、「物言う株主」が声高に株主提案する自己株式取得や増配などの資本政策も、手元資金を社外流出させると敬遠、一部ではネガティブ材料視されることとなった。
レナウンの「コロナ倒産」は、このパラダイムシフト(規範転換)の正しさを証明したことになる。現に自己株式取得でも、急遽中止したケースが、エスクリ<2196>(東1)やワコールホールディングス<3591>(東1)、ブロードバンドセキュリティ<4398>(JQS)、ヤマダ電機<9831>(東1)などと続いた。ただそうした環境下でも、今年3月以降に株価急落に対応して自己株式取得や、律儀に記念配当や普通配当を増配する資本政策を実施する企業も少なくない。このうち自己株式取得は、取得総額が大はソフトバンクグループ<9984>(東1)の2兆5000億円から小は新興市場株の数千万円までバラツキがあり、取得方法も市場買付、立会外買付、相対取引、自己株式消却を伴うものまでとさまざまである。
この株価効果は、例えばソフトバンクGでは最初に自己株式取得を発表した3月12日の3764円がいったん年初来安値2609.5円に突っ込んだあと業績の相次ぐ下方修正、赤字拡大などの実態悪が底流するなか、4月20日には4912円まで買い直されて3割高し、この間の日経平均株価の上昇率の13%をオーバーパフォームした。4月30日現在の累計取得総額は2506億円となった。ただ全般的には、世界同時株安が何度もぶり返すなかソフトバンクGほどの株価効果を示す銘柄は少なく限定的にとどまってはいる。
そこで今週の当コラムでは、「パラダイムシフト」に抵抗して敢えて自己株式取得に踏み出した銘柄に注目することとした。なかでも自己株式取得にプラスアルファ(プラスα)があり、投資採算的にも割安な銘柄には選別物色高を期待したい。このプラスαは、増配、自己株式消却、業績上方修正、新規設備投資などバラエティに富んでおり、押し上げ効果も大きそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
【関連記事・情報】
・【編集長の視点】メドレーは続落も初決算に期待を高めて直近IPO株買いが再燃余地(2020/01/23)
・ヒーハイスト精工は調整一巡、21年3月期収益回復期待(2020/02/18)
・Delta-Fly Pharmaは新規抗がん剤創薬ベンチャー(2020/02/18)
・【編集長の視点】ランサーズは上場来高値を射程圏、借入金返済を手掛かりに直近IPO株買いが増勢(2020/01/24)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク