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ボーイング、CEO報酬など停止 配当や自社株買いも見合わせ コロナの影響で
(c) 123rf[写真拡大]
米ボーイングは20日(現地時間)、新型コロナウイルスの感染拡大による現在の厳しい経営環境を乗り切るため、CEOと会長の役員報酬全額の支払いを年末まで見合わせると決定。合わせて、自社株買いや配当を当面停止することを発表した。同社は墜落事故を起こした旅客機737MAXの発注キャンセルが相次ぐ中でコロナ問題に見舞われ、政府へ支援を要請したばかり。資金繰り悪化への懸念から株価は大幅に下落するものの、世界に2社しかない大型旅客機メーカーの1社である同社に対し金融筋の間では悲観論は少ない。
ボーイングは、欧州のエアバスと世界の大型旅客機製造を二分する、世界最大の航空宇宙機器開発製造会社。1950年代に長距離国際線用の旅客機を開発し海外旅行を一般人の間で普及させるきっかけを作った。NYダウ30構成銘柄30社の1社でもあり、アメリカを代表する企業の一つ。なお、1985年に発生し500名以上の犠牲者を出した「日航機墜落事故」で使用された機体はボーイング747SR-46型機だった。
同社による今回の発表は、デイブCEOとラリー会長の役員報酬を年内見合わせるほか、配当や自社株買いを当面ストップするとの内容。新型コロナウイルスの影響を受け航空需要が急減する中で、同社は6兆円規模の金融支援を米政府と金融機関へ要請したばかり。政府支援を確実に得るため、痛みを伴う経営努力をアピールする狙いが見て取れる。なお、17日にはトランプ米大統領が経済対策を表明した会見においてボーイングを支援する姿勢を示した。
同社は立て続けに2度の墜落事故を起こした737MAXについて、世界中のエアラインから発注をキャンセルされ、中長期的なキャッシュフローが心配されていた。そこへコロナウイルス拡大の影響が重なり、新規雇用を凍結するといった情報も広がったため、株価が急落している。
16日には格付け機関S&Pが同社の信用格付けをシングルAマイナスからトリプルBへ2ノッチ引き下げた。一方、同社は生産能力ベースで当面7年分の受注残を抱える旅客機メーカーの雄であり、金融筋の間では将来の資金繰りについて懸念すべきではないとの見方もある。(記事:dailyst・記事一覧を見る)
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