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GPIFはコロナショックでどうなる?
●GPIFはどうなる?
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がピンチを迎えている。GPIFは新型コロナウィルス拡大に伴う世界同時株安で、保有資産が巨額の含み損を抱えて目減りしているだろう。
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2020年3月19日に日経平均は、一時16,358円の年初来安値を記録した。3月に入り、約1年2カ月ぶりに2万円を割り込み、アベノミクスで上昇を続けてきた日本株は正念場を迎えている。
2019年4月~12月(2019年度の第3四半期)まで好調だった。金利の低い国内債券を除いて、国内株式、外国債券、外国株式も高い収益を上げていた。国内株式が9.63%、外国株式も11.24%の収益率だった。
GPIFはインデックス運用が中心なため、各指数と同様に下落していることは間違いない。
●どれほどの損失?
2015年のチャイナショックでは、3カ月で約8兆円もの損失を出した。2018年10月~12月期にも約14兆円もの損失を出している。今回はそれ以上になる可能性が高い。
GPIFは年金保険料160兆円を運用している。2014年10月末のポートフォリオ変更に伴い、国内外の株式にポートフォリオ比率で50%投資している。
市場と同様の騰落率を損失額と仮定するならば、株式だけで16兆円もの含み損を抱えていることになる。3月20日現在は、1ドル=110.9円程度の円安傾向ではあるが、これから円高が進めばもっと損失額が膨らむ可能性がある。
当然のことではあるが、これから世界各国の大規模な金融緩和や政府の財政出動が好感されれば、株が持ち直すこともありうるため、その時は損失額が抑制される。
とにかく今年の6月以降に、2020年1月~3月期(第4四半期)の結果が待たれる。
●我々の年金はどうなるのか?
気になるのは、我々日本人の年金がどうなってしまうのかということではないか?少し前に老後2000万円問題があったが、日本の年金は大丈夫?という疑心暗鬼が国民の中に根強くある。年金支給額が減少するのではという懸念を持っている人も多いだろう。
年金積立金は、あくまで年金制度を安定させるためのものであるため、運用の結果で受給額が変わるというものではない。しかし、今すぐに減らされるということはなくとも、将来的に影響する可能性は十分にありうる。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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