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アジア諸国で拡大の二輪車市場 ライダーを守る日本の最新IC技術に期待
近年、二輪車のランプにおいても、四輪と同様、LEDの採用が増えてきた[写真拡大]
日本国内では長らく低迷している二輪車市場だが、アジアの国々での需要は順調に拡大している。MarkLines 〈3901〉がまとめたレポート「世界の二輪車需要と生産台数」によると、二輪車の世界最大市場であるインドでは、2018年度(2018年4月~2019年3月)の生産台数が前年比5.8%増の2450万台、販売台数は4.9%増の2118万台に達したという。
日系メーカーも、アジア市場でのシェア獲得に力を注いでいる。ホンダ〈7267〉はベトナム、ヤマハ発動機〈7272〉はフィリピンなど、それぞれの得意地域での販売強化はもちろん、二輪市場では世界最大規模のインドへの進出にも意欲的だ。インドは現地メーカーの存在が大きく、近年は政府の規制もあって新車販売台数が減少傾向にあると言われているが、それでも市場としての魅力は大きい。ホンダはインドのスクーター専用工場の生産能力を増強しているし、二輪市場で世界二位のシェアを誇るヤマハも、インド市場は確実に押さえておきたいところだろう。
アジアの二輪市場での日本メーカーの強みはやはり、家電などと同じく信頼性だろう。とくに安全への配慮はトップレベルだ。日本では、二輪車は趣味的な利用が多いが、アジア諸国においては生活の足だ。日々の生活に密着した移動手段としての利用が主となるため、安全性能の高さは大きなアドバンテージとなる。インドのように現地メーカーが強力な国であっても、高い安全性を持つ日本メーカーが、今後シェアを拡大する可能性は十分にある。
そんな中、二輪車の安全性を向上し、さらに省電力化などにも貢献する革新的な技術が日本で開発された。
SiC (シリコンカーバイド)パワーデバイスなどで知られる電子部品メーカーのローム株式会社〈6963〉が開発に成功したのは、二輪車分野でも採用が進むLEDリアランプ(ストップランプ、テールランプ)、フォグランプ、ターンランプなどに最適なMOSFET内蔵の4chリニアLEDドライバIC「BD183x7EFV-M」だ。LEDドライバとは、LEDを一定の光量で安定して光らせるための重要部品である。
近年、二輪車のランプにおいても、四輪と同様、LEDの採用が増えてきた。背景としては、LEDランプが、従来のバルブランプ(電球タイプのランプ)に比べて、長寿命、高輝度、省電力、デザイン性の高さといった、多くのメリットを持っていることが挙げられる。先述のインド二輪市場においても、LEDランプの採用は増加している。とくに、開発期間短縮やコスト削減のためにも、一般的なリアランプとナンバー灯を駆動する回路の構成をよりシンプルにしたいという2輪メーカーからの要望が高まっている。しかしLEDを点灯するLEDドライバは、熱設計上の問題から、灯数・明るさ・安全性・コストの全てを成立させることが困難だったのだ。
一方で、ロームの新製品は、独自の熱分散回路とLED個別制御機能という2つの新技術を搭載することでこれらの課題を解決。同時に、LEDランプにおける大幅な基板面積削減も実現した。さらに同ICには断線等の異常時において、LED動作を選択できる機能が内蔵されている。国によって異なる、不具合時のナンバー灯表示に関する法規にも対応可能なため、各国へのモデル展開時の再設計工数削減に貢献する。
モデル展開、基板の小型化、設計工数削減といった、二輪車リアランプに求められる機能を、同ICは1個で賄えるため、車載スペースが四輪車以上に制約されている二輪車にとっては革新的な製品となる。
今後、インドをはじめ、アジア各国で採用が進みそうだ。(編集担当:今井慎太郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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