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山形県唯一の百貨店「大沼」、山形地裁に破産を申請
経営再建を進めていた山形県山形市の百貨店「大沼」と関連の大沼友の会が27日、山形地裁へ破産を申請した。民間信用調査機関の東京商工リサーチが明らかにしたもので、負債総額は大沼だけで約25億円。人員削減など経費の圧縮、山形県米沢市の米沢店の閉店などで立て直しを進めていたが、業績の悪化に歯止めがかからず、事業継続を断念した。山形県唯一の百貨店だけに、地域にも深刻な影響が広がりそうだ。
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東京商工リサーチによると、山形市七日町の本店は26日で営業を停止した。従業員約180人は解雇となる方向。地下1階地上7階建ての本店店舗は破産管財人に委ねられる。米沢市の米沢サテライト店、新庄市のギフトショップ新庄店も営業を停止している。全国の都道府県庁所在地で日本百貨店協会加盟の百貨店がなくなったのはこれが初めて。
大沼はルーツとなる荒物屋が江戸時代の1700(元禄13)年に創業した老舗で、1950年に大沼百貨店を設立し、本店を開業したあと、酒田市や米沢市に店舗を設けて地域密着型の百貨店として親しまれてきた。ピーク時の1993年2月期には196億円を売り上げている。
しかし、郊外型ショッピングセンターや仙台市の百貨店との競合、人口減少などから次第に売り上げが低下、2001年から赤字に転落した。2019年2月期の売り上げは74億円まで落ち込んでいる。
2018年に東京の投資会社が経営権を取得したが、出資金の使途などを巡って投資会社と金融機関、従業員との関係が悪化。2019年には大沼の執行役員らが出資する大沼投資組合が臨時株主総会で経営権を奪い、再建を再スタートしていた。
新体制では2019年8月に米沢店を閉店とするなどリストラを実施したものの、資金繰りが限界に達し、営業を継続できなくなった。大沼友の会は会員から会費を徴収し、買い物券を発行していたが、大沼に連鎖して破産した。
地方百貨店の冬の時代は深刻な状況が続き、全国各地で閉店が相次いでいる。その結果、地方都市中心部の空洞化が加速している。大沼本店も山形市の中心商店街で核店舗となってきただけに、大きな波紋を広げるとみられる。(記事:高田泰・記事一覧を見る)
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