副業時代の歩き方 (4) 複業・兼業へのマインド転換で成功に繋げる

2019年12月17日 08:35

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 副業を成功に繋げるには、複業・兼業へのマインド転換が必要だ。この意見は、副業解禁当初からある。

【前回は】副業時代の歩き方 (3) 副業成功の鍵は継続性にあり

 副業と複業・兼業は、どのように違うのだろうか。そして、なぜマインド転換によって成功に繋がるのか。本記事では、この2点について考えてみたい。

■副業とは個人にとっての”多角化戦略”

 日本には「二兎追うものは一兎を得ず」、「二足の草鞋を履く」という言葉がある。どちらも、物事を掛け持ちすることをネガティブに捉えた表現だ。日本社会にはこのように、副業と相容れないマインドがいまだに根強い。だが、必ずしも現実はそうではない。

 企業は、基幹事業からさらに発展を目指すため、多角化戦略を採る。飲料水メーカーが、サプリメントの開発に挑戦したりするのがその例だ。一見関係ないような新領域でも、よく見てみると基幹事業で得たノウハウやスキルを応用・転用していることは珍しくない。

 企業は法人であり、法人とは法的に個人として扱うことだ。法人が多角化するのは社会で一般的であり、日本でもこれに疑問を感じる人はまずいないだろう。しかし、なぜ個人が多角化戦略を目指すのにはネガティブなマインドが付きまとうのだろうか。

 副業とは、個人にとっての多角化戦略に等しい。成長や発展、それは収入増やより良い暮らしのための、個人の多角化戦略だ。副業に対するイメージを捉え直すことは、副業を成功させるために大きな意味を持つ。

■副業を成功させるには個人事業主へのマインド転換が不可欠

 副業解禁当初から、「副業ではなく、複業・兼業と捉えるべき」という意見は少なくなかった。しかし、現在に至るまでその真意や重要性は浸透していない。

 たかが言葉と思うかもしれないが、人が持つイメージはその行動にも大きく作用する。副業が本業に対する補助的な仕事や収入であるのに対し、複業・兼業は本業と並列に捉えられる。

 副業が成功しないと嘆く人の多くは、まず副業を補助的なサイドジョブと捉えがちだ。それは、ちょっとした小遣い稼ぎに近い。だが、複業・兼業は本業と同時に所得を形成する、両輪に相当する。

 つまり、副業でより多い収入を得たいなら、副業を複業・兼業と同列の事業として捉えるべきだ。すなわち、副業を行う時点で個人事業主となるのである。それは自営業と何ら変わりなく、副業の意思決定やマネジメントまで一切を個人で管理するのだ。

 企業に勤めていると、組織への順応がより求められるため、管理職にでもならない限りマネジメントの視点や能力は得られにくい。社員の副業によって、イノベーションを期待する企業がある。それは、このように副業を通して社員がマネジメント視点を持つことを促し期待しているのだ。

 副業を複業・兼業と捉え直すだけで、これだけイメージが変わる。それは、副業を成功させるための第一歩でもあるのだ。(記事:西島武・記事一覧を見る

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