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「忘年会スルー」が意外に世代共通だったこと
最近の話題で、忘年会をあえて欠席するという「#忘年会スルー」というハッシュタグが、インターネット上で広まっているそうです。
「楽しくない」「お金を払って説教されたくない」「なぜ全員参加」「他にやりたいことがある」などの理由だそうですが、欠席するのは若い世代ばかりでなく、40代、50代といった世代でも同じような意見が多くみられるそうです。
ある調査では、忘年会について「好き」「やや好き」と答えた人は20代が43.5%、30代が39.5%だったのに対し、40代は32.0%、50代は28.5%と、上の世代の方が好意的な回答が少なかったといいます。
「イヤイヤ参加する部下とは自分も話したくない」などという声とともに、「会費負担がきつい」という話もあり、「若い人より多く会費を出さないといけない」「以前のように経費で落とせない」など、給料がなかなか上がらないことも含めて、昔とは違う懐事情も影響しているようです。
こんな一連の話を聞いての印象は、会社飲み会のやり方や社員のとらえ方は、会社によってずいぶん差があるということです。今でも飲み会を社内のコミュニケーションツールとして活用している会社はたくさんあり、場所の提供や費用援助など、やり方もいろいろですが、そういう取り組みをしている会社の社員は、社員同士の飲み会や食事会を、おおむね肯定的にとらえています。
一方、全員参加を強制され、会社のお偉い方々が上座に集結して、社員が気をつかって注文やお酌をするような、昔ながらの会社飲み会をしているところは、やはり行きたくないという人が多数になります。
ただ、私が見てきた中で、会社飲み会に対して肯定的な会社も否定的な会社も、その区別を単純に世代だけでは語れないところがありました。必ずしも「若い社員が飲み会を嫌い、年長社員が好んでいる」という構図ではありませんでしたが、そういう状況が調査でも裏付けられていることは、ちょっと発見でした。
私はやり方を工夫すれば、忘年会をはじめとした会社の飲み会イベントも、コミュニケーションツールとして有効だと考えていますが、「#忘年会スルー」が話題になるということは、嫌だと感じる比率の方が高いということで、会社の立場としては、もう少しいろいろ考える必要があります。
食事をはじめとした飲食の場を通じて、相互理解やコミュニケーションを図るのは、国籍や文化、原始までさかのぼった時代を問わず、人間全般に共通した行動だと思っています。テレビ番組で、未開の先住民族を訪問して食事に招かれたことで、信頼関係ができたと確認できるというような場面を見たことがありますが、人間のある種の本能のようなところもあるのかもしれません。
そんな本能的な感覚と、会社の忘年会にどんな違いがあるかを考えてみて思ったのは、前者は「交流を深めたいもの同士、信頼関係を作りたいもの同士が、より親密になるために飲食をともにする」ということに対し、後者は「お互いの気持ちに関係なく、飲食をともにすることで親密な関係を作ろうとしている」ということです。
それぞれ前提が違っていて、特に会社全体の宴会は、できれば距離を取っていたい、最低限のコミュニケーションで済ませたいと思う相手とも、場をともにしなければならないという気の重さがあります。あまり面識がないもの同士ならばまだしも、仲が良くない者同士や気が合わない者同士が、一緒に飲食したからといって、それで関係が良くなることは、たぶんそれほど多くありません。
考えてみれば、会社飲み会の参加率が高くて雰囲気が良い会社は、もともとの社員同士の距離が近く、お互いがさらに関係を深めたいと思っています。そうでない会社は、必ずどこかに居心地の悪い上下関係や、必要以上の強制などが内在しています。
「#忘年会スルー」が広まるということは、多くの会社が、そもそもの社員との関係づくりを、もっとよく考えなければならないことの証明ではないかと思います。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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