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ハトラ、2020年春夏コレクション発表 次元/異次元を調律する釣り人、波立つ世界の深淵
ハトラ(HATRA)は、2020年春夏コレクションを発表した。
■世界の境目を調整する“Tuner/調律体”
「Tuner/調律体」がテーマの今季は、世界の外にある異次元や、そこに住む動物の存在に思いを馳せた。今、ここにある次元と異次元の間にある“波”、そして世界の境界線を調整する存在としての“釣り人”が、コレクションの随所に描かれている。
■“釣り人”の網のようなメッシュレース
世界の深淵に腰掛け、何かを吊り上げることで外から内へと繋がりを作る“釣り人”を象徴するのが、細い糸と太い糸を組み合わせて編み上げた、メッシュレースのドレスやパンツ、バッグだ。100%レースを生産している工場で作られたメッシュレースは編み目が大きく、漁業で使われる網を彷彿させるプリミティブな表情が印象的。その一方で、近寄って見ると、漁業網の印象とは裏腹に、きめ細やかな構造になっていることが見て取れる。
また、メッシュレースは他の素材と組み合わせられることによって、より一層その存在のフレキシビリティを発揮する。光沢感を備えたハリのある素材や、縮絨させたオーガンザなどと組み合わせ、構築的に仕立てたアシンメトリーのトップスは、動きのある造形が有機的でもあるが、まとっている空気感は無機質だ。ウエストから斜めに描かれた曲線に沿って切り替えた半袖ドレスもまた、未来的でスぺーシーなムードと現世に根差した文化背景の両方を感じさせる。
■複雑な切り替えやアシンメトリーなフォルム
メッシュレースを使ったアイテムの他にも、入り組んだ切り替えのカットソーや、袖を取り外すことのできるトレンチコート、片側のみ大きく空間を開けるような造形のトップスなど、ハトラの得意とする構築的なパターンメイキングは今季も多数登場。パターンの複雑さ、非対称的な造形は、服と服、生地と生地の境界性の曖昧さを明らかにする。
■アクティブなエプロンパンツやボディバッグ
“釣り”を思わせるピースとして、外側にポケットを配したエプロンパンツや、釣り用バッグのように複数ポケットを配したボディバッグといったアクティブなアイテムも展開。パーカーやジャケットの袖口にはベルトが施されており、袖口が広がらないように固定できる仕様になっている。
■“深淵”イメージのアートワーク
“深淵”をイメージしたアートワークは、Tシャツにダイナミックにプリント。グラフ化された図の中に浮かぶいびつな地形は、あたかも自然に表出した土地であるかのようなリアリティを感じさせる。袖にはデフォルメされた“深淵”マークを配し、ささやかな遊び心を表現した。また、うっすらと地図のようなプリントを施したビスチェやパーカー、化石のようなフォルムのアクセサリーもまた、リアルと虚構の間を漂う不確定な存在を思わせる。
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