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てんかんは脳の局所冷却で治療できる 群馬大学の研究
A: 新たに開発した脳局所冷却システムの脳内埋め込み用パーツ。B: 冷却システムの性能評価。C: 脳内埋め込み用パーツをマウス脳に埋め込みリード線と接続した様子。D: てんかん発作を起こしたマウスの脳波と脳内温度記録。(画像:群馬大学発表資料より)[写真拡大]
てんかんを起こしている脳は、てんかん原生域の温度が約1度高くなっているという。そのため、脳内温度をモニターするTRPV4というタンパク質が異常な活性を生じ、てんかんをより悪化させる。そして、30度まで冷やすと、てんかん発作は完全に抑制される。群馬大学の研究グループの発見である。
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てんかん患者は、日本国内に約100万人、世界の主な医薬品市場である7つの国の合計では約520万人いるという。てんかんの治療薬は開発されて久しいとはいえ、効能が低く、また肝臓障害などの副作用を引き起こすため、より優れた治療法は常に求められる。
今回、群馬大学の柴崎貢志准教授は、てんかん病態における脳内の温度に着目する研究を行った。独自に新開発した局所脳内温度計を使用し、てんかん原生域の体温を正確に測定、結果として、正常な脳よりも1度ほど、熱が高くなっていることを突き止めたのである。
そして、その熱がTRPV4に異常活性を生じさせ、てんかんを引き起こす神経活動をより増強してしまう。
であるならば、てんかん原生域だけを局所的に冷却すれば、TRPV4の異常活性は抑えられるのではないか。そう考えて、これもまた独自の、脳局所冷却システムを製作した。これを人工的にてんかんの状態にしたマウスの脳に埋め込んで、てんかん原生域を30度まで冷却したところ、TRPVの活動は完全停止し、てんかん発作は抑制された。
つまり、可能性としては、人間用のこの装置を開発すれば、てんかん発作の治療に用いることができ、また同時にTRPVをブロックする薬剤を開発することでてんかんの新規治療薬を作ることもできると考えられるわけである。
研究の詳細は、Laboratory Investigationにおいてオンライン公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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