タンパク質の変性メカニズムを解明、産業応用や創薬の加速へ 立命大の研究

2019年10月8日 16:48

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 あらゆる生命現象の中心にあり、創薬や医療の進展のカギとなっているのがタンパク質である。タンパク質がかたちを変えて壊れていく「変性」という現象は、特に重要なものであり、アルツハイマー病などの神経変性疾患にもつながると言われている。一方でタンパク質の変性を解析することは難しく、そのメカニズムは未解明であったが、立命館大学の研究グループは7日、タンパク質の変性を解析する手法を開発したと発表した。

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 これまでも、安定したタンパク質を解析する手法については様々なものが開発され、確立に至ってきた。具体例として、X線結晶構造解析法や核磁気共鳴法、低温電子顕微鏡などが挙げられる。しかしそれらの手法では、溶液中で変性するタンパク質が、どのような振る舞いをしているのかを捉えることはできなかった。

 変性したタンパク質は解析が難しい一方で、神経変性疾患の因子であると言われてきた。変性したタンパク質が細胞内に0.01%存在するだけでも、タンパク質の異常な分子凝集に寄与する可能性が指摘されている。

 また、医薬品や創薬の世界において、いかにタンパク質を変性させずに安定した状態を保つかは長年の課題であった。特に産業利用において品質管理を行うには、タンパク質の変性は避けては通れない問題である。

 今回の立命館大学の研究グループは、T4リゾチームと呼ばれる酵素を研究対象として、その変性の様子を捉えることに成功した。研究のポイントは、従来の核磁気共鳴法に、「圧力」という生命科学研究で特徴的な技術を併用した点である。

 その結果、T4リゾチームに3つの変性中間体があることが判明した。また、天然の状態と変性中間体とのエネルギー差や体積差などの詳細なデータも解明された。

 この研究成果は、1日にアメリカ科学アカデミー紀要のオンライン版に掲載されている。

 今回の研究で開発された手法は、タンパク質の産業利用や安全使用に向けた研究に不可欠な解析手法となりうる。ひいては創薬研究などを大きく加速する可能性を持っていると言える。

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