【2020春夏ミラノコレクション ハイライト2】サステナビリティ、ネイチャー、トライバルそして原点回帰

2019年10月3日 18:30

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記事提供元:アパレルウェブ

 ミラノでは9月18~23日、2020春夏ミラノファッションウィークが開催された。コレクション中にはランウェイショーと並行して多くのプレゼンテーションも行われるが、バッグや靴などのアクセサリー類のプレゼンテーションが多いのもミラノならでは。ミラノコレクション全体の流れにマッチするような、サステナビリティ、ネイチャーやトライバルなどのテーマを掲げるブランドも多いが、ブランドストーリーや哲学を持ったアクセサリーブランドならではの独自の路線で展開するブランドも。ここでは2020春夏コレクションとして発表された、洋服以外のブランドを紹介しよう。
バッグやシューズにも広がるネイチャーやトライバルテーマ
ジミー チュウ(JIMMY CHOO)












 今年のミラコレクション全体の流れにもマッチする「自然」をテーマにした「ジミー チュウ」。レオパード柄、ゼブラ柄、アニマルプリントやパイソンモチーフがたくさん登場。特にパイソンは足首に巻き付く蛇のような雰囲気や、蛇のうろこのようなモチーフ、または蛇自体がディテールとなって登場する。さらにタイダイ風に染められたレザーや、ハニカムネット、ラフィアなど自然や野生を彷彿されるアイテムも。これらを「ジミー チュウ」らしいフェミニンなシルエットで仕上げているのがポイント。
 
 ショールームの別のスペースには、全商品が並べられ、それらがアニマルプリントのグラフィックが形をゆがませながら変化する光りのインスタレーションの中に溶け込んだような展示も。
ザネラート(ZANELLATO)






 今シーズンの「ザネラート」のテーマは「アフリカ」。ミラノコレクション全体の流れにマッチした、まさに今年らしいテイスト。ポスティーナを始めとするシンボリックなラインたちに、トライバルプリントが施されたり、ジャガードなどの布帛をミックスして展開する。また新ラインのゾエが登場。牧場で種まきをするときの朝のバッグからのインスピレーションから作られたバッグで、こちらも今年らしいネイチャーコンシャスな雰囲気が漂う。
バリー(BALLY)










 コレクションテーマに合わせた凝った展示セットに定評がある「バリー」。今シーズンはインスタレーションテーマを「Bally at Home」とし、スイスの山のモダンな家をイメージ。自然の素材を使って作られた6つの部屋に分けられた空間を作り、建築とデザインと自然が融合した独特の世界観を展開した。
 自然界にインスパイアされたカラーを使ったタイムレスなピースに、スイスの自然を描いたプリントやポップアート、Bチェーンパターンなどアーカイブからのパターンをミックス。デザイン的に美しいだけでなく、実用性やサスティナビリティも考慮したアイテムに溢れ、時代にマッチしたコレクションを展開。
ブランドのDNAをアップデートして挑戦を続けるトップメゾン
ブルガリ(BVLGARI)





 毎回、ミラノコレクション中にアクセサリーラインのプレゼンテーションを行う「ブルガリ」。今シーズンのテーマは「Gram Rebel」。「グラマラス」というのは「ブルガリ」のバッグラインのDNAだが、今シーズンは型にはまらず、アイデンティティをもったグラマラスさを強調する。既成概念や制約を壊すというイメージからか、割れたガラスが舞台セットに。新コレクションのセルペンティは、メタリックカロングが使われたものをメイン商品にネオンカラーも登場。金具部分の蛇モチーフが一まわり大きくなって、パンチの効いたコレクションに仕上がっている。
ヴァレクストラ(VALEXTRA)





 アーティストや建築家など様々な分野のクリエイターとのコラボが好評の「ヴァレクストラ」が今回迎えたのは、ロンドンをベースに活躍するデザイナー、マイケル・アナスタシアデス。特に注目なのは、彼の代表作であるフロスの照明のようなフォルムがバッグに活かされた「フルートバッグ」。ストラップ部分にマグネットを内蔵し、バッグを置いた時もストラップ部分が美しくフォルムを描くように作られていて、プロダクトデザイン的な視点からのデザインが印象的だ。
フルラ(FURLA)










 「フルラ」は今シーズンのイチオシとしてアートロゴのディテールを活かしたラインを発表。フューチャリスティックだったり、クラシックだったりと様々な雰囲気のスペースに、その雰囲気に合わせた色使いやプリントがなされたバッグを展示し、「フルラ」には珍しくモデルを使ったプレゼンテーションを行った。2020春夏コレクションだが、See Now Buy Nowで、ミラノのドゥオモ広場店や銀座店を始めとした世界の主要店で2019秋冬コレクションと同じタイミングで売り出すアイテムも。
ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)







 今シーズンの「ジャンヴィト ロッシ」は「音楽」がテーマ。レコード盤の上をサンダルが回っていたり、ドラムセットの上に乗っていたり、マイクに向けて歌っているようにアイテムが陳列されたユニークなセット。エレキギターをモチーフにしたようなブラックホワイトのピンヒールや、アニマルモチーフのハイヒールやブーツなどロックなテイスト、またはメタリックカラー、チャンキーヒールや厚底サンダルなど、70年代風テイストも満載。
バック・トゥ・オリジンでブランドのフィロソィーを貫く
サントーニ(SANTONI)
















 今シーズンの「サントーニ」は、ブランドのアイコンであるマスキュリンなラインを強調。クラシックで職人技の生きた「サントーニ」らしい世界観をウィメンズコレクションでも存分に展開する。ダブルモンクシューズ、ペニーローファーなど、同ブランドお得意のメンズライクなアイテムをニュアンスのあるカラーや、ソフトスエードなどの印象的なマテリアルを使ってフェミニンに仕上げている。
 
 また同時にニューヨークを拠点に活動しているファッションインフルエンサー兼アートディレクターのソフィア・サンチェス・デ・ベタクのカプセルコレクションも発表。レーザーカットやフリンジ、シェルモチーフなど今年らしいトライバルムードが漂う。
セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)














「セルジオ ロッシ」の今シーズンの目玉は、1969年の「セルジオ ロッシ」のロゴをまるで彫刻のようにヒールの部分に使った新しい「3Dセルジオ ロッシ スーパーヒール」。ラッカーコーティングの革新的な高耐性素材による9cmヒールがポインテッドトゥのサンダルからミュールまで様々なアイテムに使用されている。
 
 また、SとRのロゴをディテールに活かしたシリーズも。そしてスニーカー、「セルジオ エクストリーム」では、デニムを始めとしたファブリックとの組み合わせが登場。
 
ミラノコレクション
 
取材・文:田中美貴

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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