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天然植物の種から量子ドット作製に成功 青色LEDの代替にも期待 横浜市立大など
原料となる植物種子(左)と紫外線の照射によって青色に発光する炭素量子ドット(右)(写真:横浜市立大学の発表資料より)[写真拡大]
横浜市立大学は9月30日、天然植物から蛍光性をもつ炭素量子ドットの作製に成功したと発表した。青色発光ダイオード(LED)やバイオイメージングへの応用が期待されるという。
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■エレクトロニクス製品への実用化が期待される量子ドット
量子ドットは、数ナノメートルから十数ナノメートル程度の半導体結晶だ。量子力学にしたがう特殊な光学特性をもつことから、ディスプレイや太陽電池等のエレクトロニクス製品への実用化が期待されている。
量子ドットの主な材料は、セレン化カドミウム(CdSe)や硫化鉛(PbS)といった無機化合物だ。これらの結晶から蛍光体は色が褪せにくく安定している等の特徴がある一方、カドミウムやセレン等の有害元素が環境や人体に与える影響に、原料コストなどといったデメリットがある。
このような問題から近年注目されるのが、炭素源を原料とする量子ドットだ。炭素系量子ドットの材料は安価で、生体との相性(相溶性)のある安全な物質であることから、生きたまま細胞や分子の動態を解析可能な「バイオイメージング」等の生物医学への応用が期待される。ところが、無機化合物を材料としたものと比較すると、天然物から生成された炭素量子ドットは不安定で、なおかつ再現性などで課題があったという。
■青色LEDの代替としても期待
横浜市立大学、東洋大学の研究者から構成されるグループは、フェンネル(ウイキョウ)の種を500度で3時間加熱分解するという簡便な方法により、炭素量子ドットの作製に成功した。
水溶液中でも1年以上も強い発光特性が維持されるなど、安定性の高さも確認。また水溶液中で紫外線照射すると、波長420ナノメートルの強い青色光が放射することや、発光強度も時間の経過ととも褪せにくいことが判明した。
無機化合物からなる量子ドットと比較して、炭素量子ドットは発光効率が劣るという問題を抱えている。研究グループは今後、発光効率の向上や薄膜化などを進め、青色LEDなどの電子デバイスの作製やバイオイメージング等の実用化を目指すとしている。
研究の詳細は、Scientific Reports誌にて9月30日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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