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葉脈が傷つくと根の成長も阻害される 弘前大などの研究
実験の概要。(画像:弘前大学発表資料より)[写真拡大]
植物の葉脈が傷つけられると、栄養獲得のための根の成長も阻害される。この事実を、弘前大学農学生命科学部の山尾僚助教と大崎晴菜大学院生、カナダ・アルバータ大学のJr Cahill教授らの研究グループが突き止めた。
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一般論として、植物の葉というのは傷つきやすいものである。一つには多くの動物が、餌として葉を食害するためだ。今回の研究で分かったことには、食害によって葉に損傷が生じると、単に光合成器官が損なわれるだけではなく、土壌栄養分の吸収効率も下がってしまうらしい。
また、傷つけられた部位の如何によってその影響は異なるらしいこともこの研究において示唆されている。特に、維管束を多く含む葉脈を傷つけた場合、そうでない葉肉を傷つけた場合よりも根の成長への阻害度合いが大きいらしいのである。
植物の葉というものは光合成によって栄養を作り出すだけではなく、外的環境に対する応答における情報伝達と処理の役割も担っている。特に、維管束は情報伝達に関わる重要な部位だ。葉や根などが受け取った情報は、情報伝達物質として維管束を通じて伝達され、植物の環境に応じたふるまいを生起させる。
さて、土壌中の栄養資源というのは不均一に存在するものである。そこで根というものは栄養分の分布に合わせてその発達の仕方を変えるわけであるが、その土壌成分の情報の取得に関して、どういう理屈であるのか葉が重要な役割を果たしているらしい。
今回の研究では、オオバコとヤマザクラを用いた実験が行われた。それぞれ30株用意して、葉脈を傷つけた苗と葉肉を傷つけた苗を用意したところ、葉脈にダメージを受けた苗は、土中の栄養状態をうまく把握することができなくなったという。
研究の詳細は、American Journal of Botanyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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