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ユニチカ、接着性と耐腐食性を両立した樹脂接着剤を開発
従来品と新開発品による耐腐食性比較テスト。(画像: ユニチカの発表資料より)[写真拡大]
ユニチカ(大阪市)は、銅などの金属とPET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂に良い接着性を示し、金属の腐食による接着性の低下も防げる樹脂接着剤を開発した。これまで2つに別れていた防錆処理と接着塗工が、この接着剤により同時に行えるようになる。ユニチカ自身が開発していたポリエステル樹脂の耐腐食性強化版として、新しくラインアップされる。
■電子機器搭載の多様化
エレクトロニクス化の風潮は強まるばかりで、様々な分野で電子機器の搭載が進んでいる。特に自動車や通信機器では、小型化にも対応可能な接着力だけでなく、屋外等の環境での使用に耐えなければならない。そこで、接着性と耐腐食性の両立が強く望まれている。ユニチカをはじめとした企業は、この性質を持つポリエステル樹脂接着剤の開発を続けてきた。
■接着性と耐腐食性の両立
今回の樹脂は、銅やアルミニウムなどの金属やPET、ポリ塩化ビニルなどの樹脂フィルムに対して接着性が良好である。またメッキなしで金属の腐食を防ぐことができ、環境に配慮している(メッキには、クロムなど様々な金属が使用される)。
ユニチカは、PETフィルムと銅の接合において、従来の接着剤と今回開発した接着剤を使用し、PETフィルムに穴を開けて塩水を噴霧するという方法で、両者の接着力の変化を見た。すると、従来の接着剤は塩水により腐食し、接着性の低下が見られたのに対し、新開発の接着剤ではその低下が見られなかったという。
また、銅箔に接着剤で被膜を作り、切れ込みを入れて塩水を与えるという実験も行った。すると、従来品では切れ込みから銅が腐食して色が変化していないのに対し、新開発の接着剤では変色が起こらなかった。
■平坦ケーブル等で活躍の可能性
今後の利用例としては、FFC(フレキシブルフラットケーブル、断面が円形ではなく平坦な薄型ケーブル)において、メッキレス銅線との接着性の良さや耐熱性・難燃性が評価され、新開発の接着剤を用いたFFCの量産化が検討されているという。ユニチカは、本開発品の売上高を、2年後の2021年度に1億円へ拡大することを目指す。
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