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細菌と放射線で「ヒトスジシマ蚊を根絶」する実験、生態系へのリスクは
Anonymous Coward曰く、
先日、放射線で蚊を不妊化し、細菌で卵の孵化を押さえる手法で蚊を根絶するという話題があった。この手法では野生のメスの個体数が94%減少し、人間がこの種の蚊に刺される危険性は97%も減少したことが報告されているが、生態系への影響を懸念する声もある。これについてWIRED日本版が専門家に問い合わせたところ、「この技術が生態系に大きな影響を与える可能性はかなり低い」との回答が得られたという(WIRED)。
インペリアル・カレッジ・ロンドン自然科学部環境政策センターのキャサリン=ティリー・コリンズ博士によると、この取り組みはすべての蚊の根絶ではなく、病原体媒介種のひとつである「ヒトスジシマカ」を減少させることが目的であること。そして、今回発表された技術は交尾を通じて作用するものなので、殺虫剤の散布のように、数多くの有益な昆虫やほかの種には直接影響しないという。
また、ヒトスジシマカだけを食べる生物は確認されていないとされ、生態系に大きな影響を与える可能性はかなり低いとしている。ちなみに、今回の研究で使用されたボルバキアと放射線の併用技術は、マラリアを媒介するハマダラカ(Anopheles gambiae)でも応用できる可能性があるとしている。
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