神大、奄美大島で新種の菌従属栄養植物「アマミヤツシロラン」を発見

2019年8月3日 21:33

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花が一度も開くことがないまま結実するアマミヤツシロラン。(画像:神戸大学発表資料より)

花が一度も開くことがないまま結実するアマミヤツシロラン。(画像:神戸大学発表資料より)[写真拡大]

 また新種の菌従属栄養植物が発見された。神戸大学の末次健司准教授と、奄美大島の材や植物研究家森田秀一氏、田代洋平氏、原千代子氏と山室一樹氏らのグループが、奄美大島と徳之島において、新種のラン科植物を発見したのである。

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 植物はふつう光合成を行う。しかし何にでも例外はあるもので、植物でありながら進化の過程の中で光合成をやめてしまった者達も存在する。光合成の代わりに、キノコやカビの菌糸を根に取り込んで、消化して栄養源にするのである。それが菌従属栄養植物だ。

 光合成を行わない菌従属栄養植物は地上に姿を見せる必要があまりないため、ふつう花期と果実期にしか姿を見ることはできない。そういう特徴から近年までその存在はほとんど知られていなかったし、今日なお非常に謎の多い存在となっている。

 さて、今回発見された植物は、ラン科オニノヤガラ属に属するタブガワヤツシロランに似ている。ちなみにタブガワヤツシロランも末次准教授が2015年に日本で初めて発見したものである(台湾では発見例があり、新種だったわけではない)。

 ただ、タブガワヤツシロランは花が開くのだが、今回発見された新種は花が開かないまま実を結ぶという事で、新種と確認された。また、内部構造を調べると、唇弁など花びらのかたちにも違いがあったという。

 大きさは高さが2~4cmほど、長さが1cmほどの花を、1から5個ほどつける。なお、学名は「Gastrodia amamina Suetsugu」と命名されている。

 研究の詳細は、植物分類学の国際誌「Phytotaxa」にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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