副業ではじめる運送業 働き方はより柔軟に

2019年7月27日 19:13

印刷

 近年、運送業界のニュースを耳にすると、その多くは人手不足に関連することではないだろうか。

【こちらも】次世代物流システム・サービス市場拡大、「宅配ボックス」や「ドローン」が牽引

 運送業界の求人は多いが、働き方の種類や仕事についてはそれほど周知されていない。最近では運送業の働き方にも変化が出てきており、副業でも始めやすくなってきたが、そのリスクも含めて今回は紹介したい。

■現在の運送業界は売り手市場

 運送業界の人手不足は、とりわけ深刻だ。日銀短観でも、宿泊・飲食や建設と並び、運送・郵便は最も人手不足に喘いでいる業界の一つである。ネット通販の普及もあり業界の業績自体は好調だが、その需要増加が、人手不足に拍車をかけているというジレンマに陥っている。

 配送ドライバーとして働こうとする場合、運送会社と契約することがほとんどだ。しかし最近の運送業界では、求人にも柔軟性が出てきている。働き方の種類も増え、パートタイムや副業でも対応し易い工夫がされてきている。

 中でもユニークなのは、CBcloudが運営する「PickGo」という配送サービスだ。軽貨物に特化したマッチングサービスで、ドライバーにとっては働き方が簡素化されている。ドライバーは、個人が無料で登録でき、登録から報酬の流れもシンプルにして、手軽に空き時間からでも始められる仕組みとなっている。

 「PickGo」のホームページでは、配送サービス以上にドライバーへのアピールが目立つ。それだけ、運送業界にとって、ドライバーの確保が最重要課題であることの表れだろう。

 また運送業といっても、配送ドライバーばかりではない。配送センターでの荷物整理という選択肢もある。人手不足の解消のため、業界では働き方の試行錯誤が続けられている。

■契約時に事故にかかる個人負担ついての確認は不可欠

 運送業の業務内容や働く環境にばかり目が行きがちだが、副業で行うのであれば、リスクにはより注意を払いたい。配送ドライバーを選択する場合、気を付けたいのは事故だ。

 全日本トラック業界による2018年8月の発表によれば、事業用貨物自動車の事故件数にについては、交通事故全体と同様に減少傾向にあり、死傷事故件数は2008年の2万4,222件から2017年には1万,216件と、10年間で約1万件、割合にして約4割減少している。一方で、死亡事故の件数と死者については、2017年に5年ぶりに増加に転じるなど、懸念される点も出ている。

 そこで確認しておきたいのが、事故が起きた場合の責任や対応についてだ。これは雇用する側の配送業者によってまちまちで、事故時の対応を求人でアピールする会社も珍しくない。

 事故にかかる費用を、ドライバーが自己負担させられるケースもあり、これへの不満が、働き方の問題として取り上げられることもある。飲酒運転など個人的な責任を除き、頻繁に起きる軽い事故については、配送業者との契約の時点で注意を払う必要があるだろう。(記事:西島武・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事