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湖底の泥と灰から噴火記録を分析 福島大・新潟大の研究
研究の概略。(画像:新潟大学発表資料より)[写真拡大]
火山の噴火はタイムスケールの大きな現象である。よって過去の噴火記録を復元する方法としては、従来的には火山周辺の陸上の火山灰層解析などがあった。今回の研究は、それに加え、火山近くの湖の湖底堆積物から過去の噴火について検討するというものである。
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火山噴火は今日なお人類文明に対する大いなる脅威のひとつである。2014年には御嶽山、2018年には草津白根で発生し、大きな災害をもたらした。よって火山に関する研究は災害防止の観点から欠かせないわけであるが、火山というのは(場所にもよるが)数十年に1度、数百年に1度、といったタイムスパンで噴火するものである。当然、有史以前の年代に関する調査も行いたいところだ。
だが特に小規模な噴火の場合、火山灰は侵食や風化のために地上に留まりにくく、痕跡を調べることが難しい。従って、噴火の発生頻度に関する従来の分析はその回数を過小評価しているのではないか、と考えられる。
そこで今回の研究で注目されたのが、湖底に残る泥や灰などの堆積物である。今回の研究では、福島県猪苗代湖の湖底が対象に選ばれた。湖の上流域に、安達太良火山・磐梯火山があるためである。
福島大学と新潟大学の共同研究グループは、猪苗代湖の中心部近くでボーリングを実施して28メートルあまりの柱状地質試料を獲得した。これは過去5万年分に相当する堆積物である。
この試料を解析したところ、密度の高い火山性の堆積物が、陸上から火山泥流としてそのまま湖に流入していたことが分かった。
そして堆積物から過去5万年の火山噴火の頻度を調べたところ、従来の地上の記録から推測されていたよりも、およそ1.5倍ほどの噴火が起こっていたことが明らかになったという。
今回の研究から、地球上の他の火山についても、その噴火発生頻度が過小評価されていた可能性が指摘されるものである。
なお研究の詳細は、地質学の専門誌Sedimentologyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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