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「食事時間」を大切にする人と粗末にする人
つい先日ですが、ちょうどお昼時、最寄り駅ホームのベンチで、たぶん大学生くらいの年代の女性がカップ麺かみそ汁のようなものを食べています。手にお箸を持っていたので、その姿がちょっと目についてしまいました。
電車が来て、彼女も電車に乗り、そのまま食事を続けています。時間がないのだとは思うものの、食事くらいはもう少し落ち着いてすればよいのにと思ってしまいました。
それから2、3週間後、同じくらいの時間帯に、同じ駅の同じ場所で、同じ女性がやはり何か食べていました。同じく電車で移動しながらの食事です。前の記憶があったので、ついまた目がいってしまいましたが、たぶんこの人のお昼時の食事は、こんな感じが多いのかもしれません。
最近はタピオカドリンクがブームですが、その一因に「三食文化の崩壊」があるとの記事を目にしました。一日三食の概念が消え、空腹になったときに好きなものを食べてお腹を満たすそうで、食事かお菓子かわからないもので済ますことも多く、そんなところにタピオカドリンクがマッチしているそうです。
生活リズムは人それぞれですし、一日三食が絶対の正解ではありませんが、食事時間や栄養バランスなど、食事に関する意識の優先度が下がっている様子が見られるように思います。
あるところで、「仕事ができる経営者は食事時間を大切にする」という話を聞きました。どんなに忙しくても食事時間をスケジュールに入れて、状況によって少し時間をずらしたり、すぐ食べられるようにお弁当を用意しておくなどの工夫をして、食事を抜くようなことは絶対しないといいます。
私自身は仕事ができるとかできないとかに関係なく、生活の中で食べることの優先度が高いので、よほどの体調不良か人間ドックの時くらいしか、食事を抜くことはありません。空腹では頭も体も働きませんし、何より「きちんと食事をしないのは健康に悪い」との意識が強いせいもあります。掃除や洗濯はしなくても死なないが、食事をしないと命にかかわると思ってしまいます。
そんな価値観なので、「食事時間を大切にする」ということには共感します。
私の周りにいる経営者にも、食事時間を粗末に扱う人はいます。「忙しくて食べる暇がなかった」と、なぜかちょっと自慢げにいう人や、そもそも食べることに興味がなくて、食べたとしてもいつも一人で時間はバラバラ、毎回似たようなものを機械的に食べている人もいます。個人の嗜好や価値観もあるので、仕方がないところもあるでしょう。
ここからは私個人の経験で、少し偏見が混じった主観ですが、私が今まで出会ってきた経営者の中で、こうやって食事を粗末にする人は、ほぼみんなあまり仕事がうまくいっていませんでした。
この「仕事がうまくいかない理由」として思っているのは、「食事をすることは人が生存する上で最も基本的な自己管理」だからです。食欲は生命維持に必要な最も基本的な欲求であり、生きる上での本能です。これが失われているということは、生命力が弱っているか、ちょっと大げさに言えば、生命維持を放棄していることで、それほど基本的な自己管理がされていないことになります。
ちなみに、「食べすぎも自己管理不足だ」などと言われるかもしれませんが、食べられるときに食べてため込むのは、飢餓に備える生き物の本能なので、少なくとも生命力は十分にあるといえます。
また、金銭的に厳しくて食べるに食べられないなど、困窮した話はごくまれに聞いたことがありますが、これは食べること自体には執念があるので少し事情が違います。その後に事業が好転することがあり、生きる力を感じました。
こんなことから、食事の認識と仕事ぶりとは、どこかで通じるものがあると思っています。自己管理の甘さにつながっているとすれば、やるべきことをしなかったり後回しにしたりということが起こります。
健康上の問題などがある人はともかく、そうでない人が「食事時間」を粗末に扱うのは、それが生活全体のルーズさに波及し、仕事にも当然影響します。
やはりいい仕事、いい生活のベースとして、食事時間を大切にすることは、考える必要があるのではないでしょうか。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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