中小企業の投資額、18年度は2年連続で増加 19年度計画は微減 日本公庫調査

2019年6月21日 17:29

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 日本政策金融公庫の発表によると、2018年度の中小企業の投資実績は、2年連続で増加したことが分かった。ただし2019年度の当初計画では土地や船舶・車両を中心に4.9%減となっていることも明らかになった。

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■2018年度の投資実績は前年比7.1%増の2兆8,090億円

 20日、日本政策金融公庫が「第120回中小製造業設備投資動向調査」を発表した。これは、従業員20人以上300人未満の中小製造業を対象としたもので、全国の5万2,420社から無作為に抽出した3万社に調査票を送付し、回答のあった1万294社分を集計したもの。

 2018年度の投資実績は前年比7.1%増の2兆8,090億円となり、2年連続で増加した。このうち上半期は前年同期比11.7%増の1兆3,530億円、下半期は同3.2%増の1兆4,560億円だった。また、19年度における当初計画は2兆6,709億円で、18年度比4.9%の減少。18年度の同時期における当初計画は、前年度比5.7%増の2兆5,277億円だった。

■非鉄金属、木材・木製品、業務用機械などが伸長

 前年度比で大きく伸びた業種では、非鉄金属(前年度比57.9%増、以下同じ)、木材・木製品(25.7%増)、業務用機械(23.2%増)、鉄鋼(21.8%増)、印刷・同関連(20.7%増)、プラスチック(19.8%増)、金属製品(16.4%増)などがある。反対に前年度比でマイナスだったのは、パルプ・紙(8.3%減)、繊維・繊維製品(6.4%減)、電気機器(2.2%減)、輸送用機器(1.0%減)など。

■19年度は土地や船舶・車両向けの投資が大幅減少見込み

 設備投資の内容では、機械・装置が最も多く前年比6.8%増の1兆5,655億円。ついで、建物・構築物が同11.1%増の8,222億円、船舶・車両などが前年並みの2,452億円、土地が同2.9%増の1,760億円となっている。

 19年度の当初計画では、建物・構築物が同1.5%増の8,343億円と増える以外は、機械・装置が同3.0%減の1兆5,187億円、船舶・車両などが同15.9%減の2,063億円、土地が同36.6%減の1,115億円と大きく減る見込みとなっている。

■海外投資はベトナム、インドネシア、台湾が増加

 2018年度に海外拠点に投資をした企業の割合は4.0%で、前年度実績の4.1%から0.1ポイント減少。19年度当初計画では4.1%となっている。

 国や地域別で最も多いのは中国の28.8%(前年度比:1.6ポイント減、以下同じ)、ついで、タイが19.4%(1.3ポイント減)、ベトナムが16.8%(1.1ポイント増)、インドネシアが7.5%(1.7ポイント増)、フィリピンが5.7%(0.7ポイント増)、マレーシアが2.6%(1.8ポイント減)、アメリカは3.1%(0.1ポイント増)、台湾が4.9%(1.6ポイント増)、韓国が1.8%(0.7ポイント減)、インドが1.3%(0.5ポイント増)などとなっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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