24時間営業の見直しが進むコンビニ、食品ロス削減へも目を向け始めた! (2-1)

2019年5月25日 17:49

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 セブンイレブンで発生した24時間営業に対する”加盟店の乱”の余波は、時短問題から廃棄処分問題に対象を広げつつある。

【こちらも】コンビニ業界に広がる「時短営業」問題、根本にある人手不足問題に、どんな対応をするのか? (3-1)

 セブンイレブンでは直営店を中心に合計13店舗で時短営業の実証実験を続けているが、3月時点で時短営業を希望するFC加盟店が80店舗あることを認めた割には動きが鈍い。コンビニの店舗は立地条件が千差万別であることは言うまでもない。

 13店舗の実験結果を参考にして、オーナーが実際に経営している店舗の営業時間を決定することが可能なのかという疑問は否めない。実証実験に関して「時短を希望するオーナーにはテスト結果を開示する」としたうえで、「24時間営業への最終判断は加盟店のオーナーに委ねる」と永松社長が発言したことは一歩前進と言えるが、販売期限到来商品への対応で見られる「本音と建前の使い分け」にならないことを祈りたい。

 ファミリーマートは6月から東京都、秋田県、長崎県の合計270店舗で実証実験を始める。実験へ参加することで、オーナー自身が経営するFC店が時短営業によってどんな実績を上げるのかを、確認することができるようだ。オーナーにとって、自店の実績を見ながら納得して営業時間を決定できる安心感は大きいだろう。

 24時間営業の問題と同様に、以前から物議を醸しているのが販売期限到来間近の商品値引き問題だ。従来はFC本部の指導により、販売期限が迫った食品は一斉に売場から撤去されて廃棄処分されていた。

 廃棄処分によって発生する損失はほとんど店舗の負担となるため、オーナーの立場としては値引き販売をして少しでも損失を削減しようと考えるのが自然だ。2009年には、公正取引委員会がセブンイレブンに対し、販売期限到来間近の商品の値引き販売を制限することは、独占禁止法の趣旨に反するとして排除措置命令を出している。

 本来、その時点でコンビニの店舗では販売期限到来間近食品の値引き販売は始まっている筈である。ところがコンビニに値引き商品が並んでいることは、ほとんどない。本部が値引き販売に消極的なため、取引条件の悪化や契約更新時の減点材料となることを恐れ、”言わずもがな”の本部の真意を忖度して定価販売を継続し、期限到来とともにオーナーが自家消費をするか廃棄処分せざるを得ないのが実態である。(2-2に続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

続きは: 24時間営業の見直しが進むコンビニ、食品ロス削減へも目を向け始めた! (2-2)

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