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【小倉正男の経済コラム】シャトレーゼ:たった4坪の焼き菓子店「甘太郎」が原点
■日本全国に520店、海外9カ国に60店展開
シャトレーゼ(古屋勇治社長)は、美味しくて廉価、すなわちお値打ちのシュークリーム、ショートケーキ、プリンなどスイーツの製造販売でお客に圧倒的な支持を受けている。和菓子、アイスクリーム、チョコレート、ピザ、パンなどにも展開している。
特にシュークリームでは「価格破壊」を実践したことで知られる。美味しいのに加えてリーズナブルな価格を実現した。このインパクトは大きかった。
シャトレーゼは、日本全国に520店舗、海外9カ国に60店舗を展開している。街の普通の洋菓子店、和菓子店としてみればスイーツというカテゴリーではシャトレーゼにほとんど対抗できない。そのぐらいの実力を持った企業である。
戦後の1954年(昭和29年)、山梨県・甲府市に焼き菓子店「甘太郎」が開店創業された。その「甘太郎」がシャトレーゼの前身である。 「甘太郎」は、たった4坪の小さいお店だったが、二重三重に行列ができて、今川焼き風のお菓子が1日1万個売れる繁盛店だったといわれる。
いまやシャトレーゼは、“スイーツのグロ-バル企業”と謳われるようになっている。だが、やはり誕生した時からキラリと光るものがあったというべきである。
■「糖質カット」シリーズは7倍に成長
そのシャトレーゼが「糖質カット」シリーズの製造販売に注力している。「糖質カット」シリーズは、ピザ、テーブルパン、シュークリーム、プリン、ショートケーキ、どら焼き、生チョコ、アイスなどに広がりをみせている。
今回リニューアルで発売されたのが、糖質85%カットピザの「5種のチーズ」、糖質83%カットピザの「マルゲリータ」である。ピザ生地の小麦粉を植物繊維にできる限り代替させて、糖質をカットしている。
「食べたくても食べられないお客さまに安心して食べていただけるようにした。普通のピザと比較して、美味しさも価格を変わらない」(中島史郎販売戦略部長)。糖尿病などへの懸念で糖分を控えているお客を強く意識して開発された商品ということである。
「糖質カットの商品シリーズは、2010年~2018年の9年間で売り上げが7倍に成長している」(中島史郎販売戦略部長)。「糖質カット」というニーズは、潜在的にかなり強いというべきである。
■4坪の焼き菓子店「甘太郎」創業が原点
シャトレーゼは、株式の公開、つまり上場については「まったく考えていない」ということだ。シャトレーゼは、「経営を外部株主や投資家に支配されたくないという企業哲学から株式を上場することはない」(中島史郎販売戦略部長)と説明している。
「糖質カット」シリーズのような細分化されたニーズに応えられるのも株式を公開していないことが大きいとしている。ただ、それでもニーズとしては「糖質カット」のトレンドは間違いないだろうから、「糖質カット」の商品ジャンルはどんどん拡大していくに違いない。
たった4坪の焼き菓子店「甘太郎」から始まって65年、いまや押しも押されもしないスイーツ企業である。 日本だけでも520店の店舗展開というのだから、町にとってシャトレーゼ店舗の存在感は小さくない。シャトレーゼは、それぞれの町の風景の一部になっているわけである。
シャトレーゼに行くとダブルシュークリーム、ショートケーキなどのスイーツについ目がいってしまうが、これからは「糖質カット」シリーズの商品にも目を配りたい。
そうした懸念はいままったくない模様だが、シャトレーゼは創業の「甘太郎」の原点を決して忘れずに、と思うのみである。
(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て現職。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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