淡水魚「カマツカ」の新種2種、関西学院高等部の教諭が発見

2019年4月25日 20:49

印刷

 カマツカはコイ目コイ科に属するコイの仲間である。その新種となるPseudogobio agathonectris(標準和名:ナガレカマツカ)とPseudogobio polysticta(標準和名:スナゴカマツカ)の2種を、関西学院高等部の富永浩史教諭と、大阪経済法科大学教養部の川瀬成吾准教授が共同研究によって発見、発表した。

【こちらも】神戸大、東北太平洋岸で新種の海藻「サンリクモズク」を発見

 カマツカは日本ではありふれた淡水魚である。岩手・山形以南の本州・四国・九州、そして朝鮮半島や中国北部にも分布している。食用にもなり、また観賞魚として飼育する人もいる。

 コイ科カマツカ亜科カマツカ属には、カマツカを含め、既に知られている4種が属する。今回発見された2つの新種はどちらもカマツカに非常によく似ているのだが、海外の近縁種との比較、日本各地のカマツカとの比較によって、近縁種とは異なる特徴を持っているという。

 新種発見のきっかけは、富永教諭が関西学院高等部に在学していた頃、京都府の農業用水路に顔つきや体型の違う2種類のものが混じっていることに気付いたことであるという。これに触発された富永教諭は、関西学院大学理工学部に進み、さらに京都大学大学院理学研究科に進学、淡水魚の専門家である渡辺勝敏教授の指導を受け、日本全国のカマツカを採取し、遺伝子を調べる研究を続けた。

 結果として、日本のカマツカには遺伝子系統からして3つの系統がある、ということが明らかになったのである。2系統は西日本に分布し、1系統は東日本に分布するという。ちなみに、一番最初に京都で2種類のカマツカが確認されたのは、西日本には2系統のカマツカが混在しているからだ、というわけだ。

 それぞれのカマツカには、口唇やひげの長さ、胸びれの形状、斑紋などに違いがあって区別が可能である。

 なお、研究の詳細は、日本魚類学会英文誌「Ichthyological Research」に発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連記事