墜落したボーイング737 MAX、オプション扱いの安全機能を搭載せず

2019年3月25日 00:01

印刷

記事提供元:スラド

昨年10月29日と今年3月10日に墜落事故を起こした2機のボーイング737 MAX型機では、オプション扱いとなっていた異常発生時の安全を向上させる2つの機能がいずれも搭載されていなかったそうだ(The New York Timesの記事SlashGearの記事The Vergeの記事Ars Technicaの記事)。

搭載されていなかったオプション扱いの機能とは、2つの迎角(AOA)センサーから読み取ったデータを表示するインジケーターと、2つのAOAセンサーから読み取ったデータが一致しない場合に警告を表示するAOA Disagree alertだ。昨年10月のライオンエア610便墜落事故では、737 MAXの新型失速防止システム(MCAS)にAOAセンサーから誤ったデータが入力されたことが事故の原因とされていた。

昨年11月にボーイングが発行したOperation Manual Bulletin(OMB)では、AOAの異常を操縦士へ知らせる複数の機能のうち、AOA Disagree alertはオプションのAOAインジケーターが搭載されている場合のみ利用できることが記載されている。ただし、ライオンエア610便の737 MAXにAOAインジケーターが搭載されていたかどうかについては記載がなかった。
匿名の情報提供者がThe New York Timesに語ったところによれば、ボーイングではAOAインジケーターを引き続きオプションとする一方で、AOA Disagree alertを標準搭載にする計画だという。また、現在は2つのセンサーのうち1つのみのデータを使用しているMCASのソフトウェアについては、2つのセンサーから送られたデータが大幅に異なる場合にMCASを無効化するよう修正するとのこと。

ライオンエアのような低価格航空会社ではオプション機能を追加しないことが多く、規制当局もオプション機能の追加を必須とはしていないそうだ。これらの機能で墜落事故を防げたかどうかは不明だが、安全機能をオプションとして収益を増やすことへの批判も出ている。

737 MAXを購入した米航空会社3社のうち、アメリカン航空とサウスウェスト航空がAOAインジケーターとAOA Disagree alertを搭載している。サウスウェスト航空ではライオンエアの事故を受け、AOAインジケーターを操縦士背後のディスプレイからメインディスプレイに移動する計画もあるという。一方、ユナイテッド航空は操縦士が別のデータを利用できるという理由でいずれも搭載していないとのことだ。

 スラドのコメントを読む | ハードウェアセクション | ハードウェア | セキュリティ | ソフトウェア | スラッシュバック | 交通

 関連ストーリー:
墜落事故を起こしたボーイング737MAX8と737MAX9に対し米当局も全機運航停止命令を出す 2019年03月15日
ライオンエア610便墜落事故、ボーイングが新機能のトラブル対応手順を知らせていたかどうかで議論に 2018年11月18日
アメリカン航空、ボーイング737 MAX導入に伴ってシートピッチを縮小する計画 2017年05月07日

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事