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【どう見るこの相場】「桜」が早期開花しても花冷えの心配があっても硬軟両様特性の「トリプルアクセル株」へのアプローチに一考余地
平均的な投資家の現在の心理状態は、江戸端唄風に推察すると「梅は咲いたか 桜はまだかいな」というところだろうか?日経平均株価は、心理的なフシ目とされた2万1000円台を回復して「梅」は咲いたが、さらに上値を追って「桜」が咲いてくれるのかいま一つ確信が持てない。そのくせ一方では、「桜」が咲くのに出遅れるのを恐れて、見切り発車をしなければと相反する切迫感にも悩まされるから始末に悪い。
この「桜」が咲くかどうかの最大のポイントは、もちろん舞台を北京からワシントンに移して続けられている米中貿易協議の行方である。閣僚級協議が、日程を2日間延長し、トランプ大統領も習近平国家主席との首脳会談や交渉期限の延長にまで言及しているが、そこまできても最終合意に至るかどうか、海外メディアの報道でも成否が分かれ、なお確からしい落としどころがみえない。だいたいこの2万1000円台回復にしても、昨年12月の世界的なクラッシュ相場の導火線となった株価材料の評価が、ネガティブからポジティブに変わっただけで、株式需給的には売り方の買い戻し主導だった。積極的に上値を買い、「桜」の開花を促すにはパワー不足は否めない。
3月期決算会社の第3四半期業績発表をテコに発進すると期待された頼みの業績相場も、不発気味だ。日本経済新聞の集計によれば、今2019年3月期業績は、下方修正額が上方修正額を上回り純利益が2.3%減と3期ぶりに減益転換する。個別銘柄でみても、下方修正銘柄が、悪材料織り込み済み、売られ過ぎ修正や同時発表の自己株式取得などを手掛かりに底上げする決算プレーが目立ち、追随買いが正しいのか迷う場面も多かった。
こうしたなお気迷い気味の平均的な投資家にぜひ一考をお薦めしたいのが、フィギアスケートで高得点が取れる「トリプルアクセル」に倣って、好材料が3つ揃った「トリプルアクセル株」である。この筆者が勝手に名付けた「トリプルアクセル株」は、3つの株価材料が表面化した銘柄と3つの好事業環境が背景となった銘柄で、好材料が表面化してから独自人気で上値にチャレンジしてきた。「森を見ずに木を見る」個別銘柄物色の有力候補株であり、「桜」の開花が一気に早まっても多少遅れても、また花冷えなどがあってもなお活躍場面があるはずで、硬軟両様特性を発揮してくれそうだ。
■業績上方修正をベースに増配、自己株式取得、株式分割などがオン
今回の3Q決算では、業績上方修正と増配、業績上方修正と自己株式取得などの2つの好材料を同時発表した「ダブルアクセル株」が目立ったが、好材料が3つ揃った「トリプルアクセル株」はごくわずか3銘柄にとどまる。ベースとなるのは業績上方修正で、発表日時順に列挙すると、オーハシテクニカ<7628>(東1)は、今2019年3月期の純利益の上方修正に年間配当の48円の増配、自己株式取得がオンした。続いて前田建設工業<1824>(東1)が、今3月期業績の上方修正、年間20円への増配、450万株の自己株式取得を発表した。両社の業績上方修正は前期比較の減益率の縮小にとどまり、株価の上値インパクトは小幅にとどまっているが、PERはそれぞれ7倍台、8倍台と市場平均を大きく下回っているだけに上値再チャレンジが有力だ。
株価のインパクトが大きかったのは東和薬品<4553>(東1)で、同時発表の業績上方修正と増配、株式分割を歓迎して株価は930円高した。この業績の上方修正は、昨年10月29日に続く2回目となる再上方修正で、昨年10月は昨年来高値9280円まで1220円高しており、この再現からもなお上値余地が期待される。3月31日を基準日にする株式分割(1株を3株に分割)の権利取りが盛り上がりそうだ。
結果的に「トリプルアクセル株」となったのは、ゴールドウイン<8111>(東1)である。同社株は、今年2月8日に昨年11月に続いて今3月期通期業績の2回目の上方修正と増配を同時発表した「ダブルアクセル株」である。ところが英FTSE社が、2月15日にFTSE世界指数の組み入れ銘柄の定例見直しで同社株の新規採用を発表、結果的に「トリプルアクセル株」として上値追いに拍車が掛かり上場来高値を更新した。昨年10月の業績上方修正時はストップ高した急騰特性も内包しており、個別銘柄物色のシンボル株として存在感を増そう。
■情報処理サービス株には次々と働き方改革、元号改元、消費税増税の関連特需
事業環境的に「トリプルアクセル」が見込めるのが、会計ソフト・業務ソフト、システムインテグレーション事業、ERP(基幹系情報システム)などを展開している情報処理サービス株である。今年4月の働き方改革関連法の施行、5月の元号改元、10月からの消費税増税を控えて関連需要が相次ぎ、クラウドサービスの利用も拡大する方向にあるからだ。すでに関連株は、こうした好事業環境下で業績の上方修正が相次いでいる。会計システムのビジネスブレイン太田昭和<9658>(東1)は、今年1月31日に、業務ソフトのピー・シー・エー<9629>(東1)は、今年2月18日にそれぞれ今2019年3月期業績を上方修正し、前週末22日には業務ソフトのオービックビジネスコンサルタント<4733>(東1)が、2回目の今3月期業績の上方修正を発表し、会計事務所を主要顧客とするミロク情報サービス<9928>(東1)は、今期配当の増配を発表した。
税理士向けソフトのTKC<9746>(東1)が、今年2月6日に発表した今2019年9月期第1四半期業績は、地方公共団体向けなどの需要一巡で2ケタ減益となったが、会計事務所向けやクラウドサービスは好調に推移しており、システムインテグレーション事業が売り上げの過半を占める大塚商会<4768>(東1)の今12月期業績は、連続の過去最高更新が予想されている。EPR関連では、東洋ビジネスエンジニアリング<4828>(東1)が、今年1月31日に今3月期業績の3回目の上方修正と2回目の増配を発表し、オービック<4684>(東1)は、今3月期配当を増配し、オロ<3983>(東1)も、2月13日に上ぶれ着地した前2018年12月期業績と連続過去最高予想の今12月期業績を開示した。IT株としていずれも投資採算的にはやや割高だが、好材料発表のたびに窓を開けて急伸する株価感応度が高い銘柄が大半であり、今後の「トリプルアクセル」材料の到来とともに、急伸特性の再現期待を高めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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