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小売業者によるネット販売、9割超がメリット感じる モール利用料は3割が不満 公取委調査
公正取引委員会が「消費者向けeコマースの取引実態に関する調査について」を発表し、メーカーやオンラインモール運営業者から小売業者に対して不透明な対応があることが分かった。
■売り手も買い手も3つのモールに集中
29日、公正取引委員会が「消費者向けeコマースの取引実態に関する調査について」を発表した。これは、2018年1月から11月にかけて3つの方法で行われ、事業者向けアンケート(4,339名に送付し、1,208名から回答)、小売業者やメーカー・オンラインモール運営事業者などからヒアリング(合わせて延べ117社)、消費者向けインターネットアンケート(2,000人)を実施し、集計したもの。
小売業者に出店先のオンラインモール(モール名は全て未公表)について尋ねたところ(10サイトまで複数回答可)、上位3つのモールが71%、64%、54%となり、以下9%、7%のように大差となった。また消費者に利用したことがあるオンラインモールについて尋ねたところ(複数回答可)、上位3つのモールに対して86%、85%、61%となり、以下18%、16%、12%とこちらも大きく差がついた。
■消費者は安さや商品数を重視
消費者がオンラインモールを選ぶ理由では、「価格が安い」の67%、「取扱商品が多い」(57%)、「会員サービス(ポイント付与、割引等)が充実している」(35%)、「決済方法が使いやすい」(25%)、「ショップ(出店者)が多い」(20%)となった。オンラインモールと実店舗の選択で重視する項目でも、「価格が安い」(75%)、「取扱商品が多い」(53%)が多く、以下「実店舗に出向く時間(手間)を省略したい」(41%)、「取扱商品の品質が良い」(23%)となっている。
■小売業者はオンライン販売のメリット感じるも競争が激化
小売業者に対してオンライン販売のメリットの有無を尋ねたところ、「メリットがあった」が94%、「メリットはなかった」が6%と圧倒的。ただし、eコマースの発展・拡大による競争状況については、「競争が激しくなったと感じる」が77%、「競争が激しくなったと感じない」が23%となっている。
■メーカーから小売業者への制限
小売業者がメーカー等からオンライン販売に関して「制限されることがある」が29%、販売価格や販売価格の広告・表示に関して「指導・要請をされたことがある」が24%だった。メーカーから小売業者への具体的な制限については、「オンラインモールでの販売が禁止」が50%、「オンライン販売は全て禁止」が39%、「販売サイトのデザイン指定」が28%、「実店舗を有しない場合には、オンライン販売禁止」が19%となっている。
■モールの利用料に不満がある小売業者は38%
モールへの出店審査について、「公開されている審査基準によって審査が行われた」は39%、「公表されていないが事前又は事後に開示された審査基準によって審査が行われた」は6%、「審査がなかった」は15%だったものの、「審査が行われたが、審査基準の開示はされなかった」が40%あった。また、モールでの販売取りやめについて「容易にできる」は32%に留まり、「容易とまではいえない」は40%、「かなり困難」は16%、「不可能(著しく困難)」は11%となっている。
さらに、オンラインモールの利用料に「不満がある」と答えた小売業者は38%、決済方法に「不満がある」と答えた小売業者は15%だった。
■公正取引委員会「違反行為は厳正に対処」
資料では、eコマースについて「競争促進効果が認められ、消費者と事業者の双方にとって大きなメリットをもたらしている」と見ており、競争を妨げるような「公正かつ自由な競争を阻害する行為」が行われないように、メーカー、小売業者、オンラインモール運営業者を注視し、「独占禁止法に違反する行為に対しては厳正に対処していく」と締めくくっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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