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「リスクと取らないことこそリスクだ」という話
「リスク・マネジメント」とは、“リスクを組織的に管理して、損失等の回避や低減を図るプロセス”と定義されますが、その重要性が東日本大震災以降は、事業継続の観点から一層強調されるようになりました。
私もそれが大切だということは、それなりにわかっているつもりでしたが、つい最近専門家の方からお話を聞く機会があり、そこでの話は私自身が今まで持っていた認識とは少し違ったイメージのものでした。「リスク・マネジメント」は、ただ「リスクを避けること」だけではないという話です。
「リスク・マネジメント」は、日本語に直訳すれば「危機管理」となりますが、「危機」の“危”は文字通り危ないということと合わせ、“機”は機会の意味だといいます。
「リスク」の語源には諸説あるようですが、イタリア語で「勇気をもって試みる」という“risicare”や、アラビア語で「今日の糧を得る」といった意味の“risq”があり、まさにポジティブに何か得るための「機会」の意味です。
「リスク」には二面性があって、災害や紛争のような「ハザード」の意味で、そこから受ける被害を最小化することがありますが、その一方で、発展を目指して何か行動する際に失敗の芽を先に摘んでおくことや、実行するための安全度を増すという側面があります。リスクを避けるだけでなく、リスクをとって対処するということです。
「橋を渡らないことではなく、橋を渡るために必要なのがリスク・マネジメントだ」ということでした。
こういわれると、仕事上の行動や日々の活動が、すべてそれにつながっている感じがしてきます。
外出しなければ交通事故にあう可能性は限りなく低くなりますが、それでは経験できることがかなり限定されます。
人間関係の軋轢を避けるだけならば、他人とは一切付き合わなければ良いですが、それでは人を関わることで得られる喜びはありません。
ネットの炎上防止も、発信をやめるよりも発信のしかたや内容を考えた方が前向きです。
新規事業や起業などはまさにそうで、そんなことをしなければ失敗することはありませんが、成功する可能性もありません。
リスクと聞くと、ついつい「危険」を避けることばかりに意識が向きますが、本来はリスクをとって「機会」を作り、そこで起こる問題に向き合うことで、最終的な果実が得られます。
「リスクと取らないことこそリスクだ」という言葉も目にしました。
身の回りの「リスク」を見直し、そのかかわり方をあらためて考えると、実はもっと積極的に取り組めることがたくさんありそうです。今までとはもう少し違ったことができるのではないでしょうか。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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