関連記事
コラム【アナリスト夜話】:ペイペイに続け?(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)
*09:36JST コラム【アナリスト夜話】:ペイペイに続け?(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)
先週、ソフトバンクとヤフーの決済システム「ペイペイ」が話題になりました。弊社でも、ある人が全額キャッシュバックに当選し、盛り上がりは最高潮に達しました。
システムの不具合などいろいろ問題もありましたが、やはり、この「100億円あげちゃうキャンペーン」が、わずか10日で100億円を還付しきって終了したのは驚きでした。逆算すると、300強~400億円程度使われた計算です。仮に1アカウント当たりの利用額が1~2万円とすると、200~400万のアカウントが開設されたことになります。
新生銀行や住信SBIネット銀行などのリテール口座数が300万規模ですから、ペイペイは、わずか10日で小規模銀行に匹敵する顧客を集めたことになります。
このままでは、従来の銀行は、個人の決済から弾き出されてしまうかも・・・そんな危機感があるかと思いきや、この上期決算の取材で聞いた銀行のコメントは意外と楽観的でした。その背景の一つが、先月、銀行連合が発表した統一QRコードによるスマホ決済の開発です。
確かに、自分の給与口座から直接支払える銀行のスマホQR決済は便利に思えます。しかし、今回のペイペイで明らかになったように、消費者に使ってもらうには、サプライズ感があり、口コミで広がるようなメリットが重要です。銀行連合は安価な加盟店手数料を打ち出していますが、問題は、利用者側にどこまで大胆なメリットを提供できるかでしょう。
銀行のスマホQR決済稼働の2020年4月までの間に、どこかがデファクト・スタンダードになれるかどうか。あるいは、先発組を破壊するようなキャンペーンを銀行連合が打ち出せるのか。個人決済の世界は、デファクトを獲得するため、いかにメリットを付与するかの戦いになりそうです。
実は今回は、「ペイペイで何を買おうか」と迷っているうちに、100億円キャンペーンが終わってしまいました・・・次回またどこかが行うであろうキャンペーンに備え、今から買いたいものを心に決めておこうと思います。
マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:12/17配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)《HH》
スポンサードリンク