アフリカの鰭食魚にも左利きと右利きがいる 富山大などの研究

2018年12月17日 21:37

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ゲンヨクロミス・メントが餌魚(キンギョ)の尾びれに食いつく瞬間。(画像:富山大学発表資料より)

ゲンヨクロミス・メントが餌魚(キンギョ)の尾びれに食いつく瞬間。(画像:富山大学発表資料より)[写真拡大]

 アフリカ・マラウィ湖に生息する鰭(ヒレ)を食べる魚、G.mento(ゲンヨクロミス・メント)にも右利きの個体と左利きの個体がいるという。富山大学大学院医学薬学研究部(医学)竹内勇一助教、医学部医学科5年生山田拓人氏、および愛媛大学、龍谷大学、マラウィ大学で構成される国際共同研究チームが明らかにした。

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 ヒトには右利きと左利きがいることはごく一般に知られているし、ヒト以外の動物、また魚においても「獲物の右側の鱗を狙うか、左側の鱗を狙うか」の好みの違い、すなわち右利きと左利きがあることが、例えばアフリカ・タンガニイカ湖のシクリッド科鱗食魚ペリソーダス・ミクロレピスなどにおいて見られることが知られている。ただ、それがどんな魚にどのように現れるかの詳細や、どのように進化したのかについてはこれまでよく分かっていなかった。

 今回の研究の対象は、そのペリソーダス・ミクロレピスと同じシクリッド科に属する、しかし食性は鰭食性(獲物の鰭を好んで齧って食べる)の、ゲンヨクロミス・メントである。マラウィ湖には約800種のシクリッド科魚類が生息しており、ゲンヨクロミス・メントはその1種類であり、またシクリッド科魚類は非常に幅広い多様性を持つ。

 水槽内でこのゲンヨクロミス・メントに餌のキンギョを与え、それをハイスピードカメラで撮影し、その捕食行動を観察したところ、明確に、獲物を左から襲う個体と、右から襲う個体の2種類の個性が観測されることが分かった。

 また、この個性に対応して、顎の骨のかたちもそれぞれの方向からの捕食に適するように進化していたという。

 このことから、「逃げる相手を襲うタイプの魚には利きが発生する」という仮説が立てられる、と研究グループは説明している。

 研究の詳細は、The Journal of Experimental Biologyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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